CULTURE
養老孟司の名言「心に個性はありません。」【本と名言365】
April 22, 2024 | Culture | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Kentaro Wada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。著書『バカの壁』で大ベストセラーを記録した、日本を代表する解剖学者、養老孟司。脳科学や解剖学の知識を交えながら、人や社会が抱える問題を独自の目線で切り込んできた養老が、今を生きる人たちに捧げるメッセージ。
心に個性はありません。
「自己肯定感」や「承認欲求」という言葉が世に広まって久しい。自分らしく生きるとはどういうことなのか、社会に認められるためにどう振る舞えばいいのか……。現代人が抱く「自分らしさ」への悩みについては、これまでさまざまな意見が交わされてきた。そんななか、養老孟司は解剖学者らしい視点で「人間の個性」を説き明かしている。
「私の個性は私だけの考え、私だけの感情、私だけの思いにある。ここに大きな誤解があります。心に個性はありません。(中略)私の考えを説明して、それがわかってもらえたら、それは私だけの考えじゃなくなるんです。だから心は共通です。じゃあ、個性とは何か。個性とは身体です」
著書『ものがわかるということ』でこう語った養老。自分の親にすら皮膚を移植することはできないように、自分と他人を区別できる最大の要素は身体にある。解剖学に精通し、人間の身体の複雑さを知る養老ならではの考え方だ。運動や食事など自発的な行動が身体をつくるのと同様、個性は待って得られるものではない。身をもって学び、自分自身を変化させることが個性へとつながると養老は指摘している。
「自分とは『創る』ものであって、『探す』ものではありません。(中略)そのために大切なことは、身体の世界や、感覚の世界、つまり具体的な世界を身をもって知ることである。そこで怠けると、後が続きません」
知識も教養も“身”につけるもの。現代の知の巨人が説いた「自分らしく生きる」こととは、さまざまな学びや知識を身体で感じ取り、自身の個性となるまで鍛錬を積み重ねた末に生まれるものなのだ。
「自己肯定感」や「承認欲求」という言葉が世に広まって久しい。自分らしく生きるとはどういうことなのか、社会に認められるためにどう振る舞えばいいのか……。現代人が抱く「自分らしさ」への悩みについては、これまでさまざまな意見が交わされてきた。そんななか、養老孟司は解剖学者らしい視点で「人間の個性」を説き明かしている。
「私の個性は私だけの考え、私だけの感情、私だけの思いにある。ここに大きな誤解があります。心に個性はありません。(中略)私の考えを説明して、それがわかってもらえたら、それは私だけの考えじゃなくなるんです。だから心は共通です。じゃあ、個性とは何か。個性とは身体です」
著書『ものがわかるということ』でこう語った養老。自分の親にすら皮膚を移植することはできないように、自分と他人を区別できる最大の要素は身体にある。解剖学に精通し、人間の身体の複雑さを知る養老ならではの考え方だ。運動や食事など自発的な行動が身体をつくるのと同様、個性は待って得られるものではない。身をもって学び、自分自身を変化させることが個性へとつながると養老は指摘している。
「自分とは『創る』ものであって、『探す』ものではありません。(中略)そのために大切なことは、身体の世界や、感覚の世界、つまり具体的な世界を身をもって知ることである。そこで怠けると、後が続きません」
知識も教養も“身”につけるもの。現代の知の巨人が説いた「自分らしく生きる」こととは、さまざまな学びや知識を身体で感じ取り、自身の個性となるまで鍛錬を積み重ねた末に生まれるものなのだ。
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