CULTURE
【本と名言365】李禹煥|「自己は有限でも外部との関係で…」
November 14, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。戦後日本の美術重要動向「もの派」を代表する作家・李禹煥。“つくる”と“つくらない”の間で表現したい世界観とは。
自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。
1960年代末から70年代初頭にかけて発展した美術動向「もの派」。木や石などの自然素材、紙や鉄板、角材などの人工の素材を未加工のまま提示することで、「もの」との関係を探る。その試みを牽引し、理論を支えるのが李禹煥だ。
李はイメージを形象化することを前提とした西洋美術への批判として「あるがままの世界との出会い」という独自の哲学を提唱。ほとんど手を加えずに自然素材と工業製品を組み合わせ、ものとものの関係、ものと場との関係、ものと人との関係を問う《関係項-対話》、一連の筆の動きを反復する《点より》、《線より》など造形性を排除した作品を制作してきた。
約60年にわたる自身の活動を「より開かれた表現の次元を目指す戦いだった」と李は語る。“作る”と“作らない”、“描く”と“描かない”の関係を探ることで、無限の表現を追求しようと試みた。「私は自分から出発して他者や外部と関係し、自己を超える表現を開いた。自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である」。描かないことで生まれた余白が限りない広がりを感じさせる。造形を最小限にとどめることで最大限の想像を引き寄せる。作者の導きから解き放たれた作品には無限の世界が広がっている。
1960年代末から70年代初頭にかけて発展した美術動向「もの派」。木や石などの自然素材、紙や鉄板、角材などの人工の素材を未加工のまま提示することで、「もの」との関係を探る。その試みを牽引し、理論を支えるのが李禹煥だ。
李はイメージを形象化することを前提とした西洋美術への批判として「あるがままの世界との出会い」という独自の哲学を提唱。ほとんど手を加えずに自然素材と工業製品を組み合わせ、ものとものの関係、ものと場との関係、ものと人との関係を問う《関係項-対話》、一連の筆の動きを反復する《点より》、《線より》など造形性を排除した作品を制作してきた。
約60年にわたる自身の活動を「より開かれた表現の次元を目指す戦いだった」と李は語る。“作る”と“作らない”、“描く”と“描かない”の関係を探ることで、無限の表現を追求しようと試みた。「私は自分から出発して他者や外部と関係し、自己を超える表現を開いた。自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる。表現は無限の次元の開示である」。描かないことで生まれた余白が限りない広がりを感じさせる。造形を最小限にとどめることで最大限の想像を引き寄せる。作者の導きから解き放たれた作品には無限の世界が広がっている。
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