CULTURE
【本と名言365】アンリ・マティス|「私の線画は私の…」
October 10, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。「色の魔術師」ことフランス美術界の巨匠、アンリ・マティス。ピカソも嫉妬したという彼の創作世界。その源泉には純粋な思いが貫かれていました。
私の線画は私の感動の直接の、もっとも純粋な翻訳である
20世紀のフランスの美術界を代表するアンリ・マティス。活動初期は印象派の流れを汲み、写実的な作品を制作。その後、ゴッホの影響を受け、次第に色彩と形態は単純化し、粗く激しい筆触と大胆な色彩表現へ。そして、フォーヴィスム(野獣派)と呼ばれる新しい芸術運動を展開。色彩の美しさではなく、心が感じた色彩を表現しようとした。
その後、南フランスの美しい光に魅了されたマティスは自然から多大なインスピレーションをもとに独自の色彩感覚を養う。その頃からフォーヴィスムの荒々しさは影を潜め、調和的な色彩表現、自然主義的な様式へと移行していった。がんを患い、車椅子生活となった後は、切り絵による創作を行うように。額縁という枠を超え、建築空間全体にまで拡張。色紙をカットアウトした巨大な作品でも高い評価を得た。
絵画だけでなく、彫刻やステンドグラスなど枠にとらわれず、独自の表現を追求したマティス。彼にとって色彩と同じくらい重要な表現手段だったのが線だ。線と色彩を画面の中でどう調和させるか。それは生涯のテーマだったのだ。試行錯誤を繰り返すうちに「創造するとは自分自身のうちにあるものを表出すること」と考えるようになったマティス。芸術家にとっての創造とは、写真のように正確な描写をすることではなく、自身の感情、感覚、欲望を通して生まれる表現だと信じていたのだ。
20世紀のフランスの美術界を代表するアンリ・マティス。活動初期は印象派の流れを汲み、写実的な作品を制作。その後、ゴッホの影響を受け、次第に色彩と形態は単純化し、粗く激しい筆触と大胆な色彩表現へ。そして、フォーヴィスム(野獣派)と呼ばれる新しい芸術運動を展開。色彩の美しさではなく、心が感じた色彩を表現しようとした。
その後、南フランスの美しい光に魅了されたマティスは自然から多大なインスピレーションをもとに独自の色彩感覚を養う。その頃からフォーヴィスムの荒々しさは影を潜め、調和的な色彩表現、自然主義的な様式へと移行していった。がんを患い、車椅子生活となった後は、切り絵による創作を行うように。額縁という枠を超え、建築空間全体にまで拡張。色紙をカットアウトした巨大な作品でも高い評価を得た。
絵画だけでなく、彫刻やステンドグラスなど枠にとらわれず、独自の表現を追求したマティス。彼にとって色彩と同じくらい重要な表現手段だったのが線だ。線と色彩を画面の中でどう調和させるか。それは生涯のテーマだったのだ。試行錯誤を繰り返すうちに「創造するとは自分自身のうちにあるものを表出すること」と考えるようになったマティス。芸術家にとっての創造とは、写真のように正確な描写をすることではなく、自身の感情、感覚、欲望を通して生まれる表現だと信じていたのだ。
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