CULTURE
【本と名言365】柳宗理|「創造の無いところに…」
| Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。生涯を通じデザインのあるべき姿勢を追求したインダストリアル・デザイナー、柳宗理。なぜその仕事は色あせることなく生き続けるのか。そこには柳の強い想いが息づいていました。
創造の無いところに本当の意味のデザインはない
戦後日本のインダストリアルデザインを確立したデザイナー、柳宗理。その本格的な活動は物資がほとんどない第二次世界大戦後に始まる。その仕事は実に多彩で、工業製品、家具、食器にはじまり、札幌オリンピックの聖火台、東名高速道路の東京料金所防音壁、横浜市営地下鉄の設備などの公共物まで手がけた。いまなお、その仕事は私たちの生活に身近だ。
柳のデザインはモダンデザインの考えに則りながら、柳特有の造形感覚がそこに息づくことで知られる。傑作と名高い〈バタフライ・スツール〉は、塩化ビニルを無意識のうちに手で動かすなかで生まれた形だ。柳は『デザイン考』と題した文章のなかで、「創造の無いところに本当の意味のデザインはない」と書く。その前段で、デザインは人類の用途のためにあることを至上目的とすべきだと柳はいう。だからこそ、デザインには表面上の操作ではなく内部構造そのものを革新することが求められるのだと続ける。
他にない特徴を機能や技術によってデザインを追求すべきだとした柳。成形合板を用いた〈バタフライ・スツール〉、そしてFRPを用いた〈エレファント・スツール〉は、ともに新しい技術開発とそれに伴う新しい材料でデザインされた。それが同時に椅子の特徴となって形に表れる。同時に柳は生活をより良いものとすべく、細やかに機能性を追求した。畳み間での使用を考えた〈バタフライ・スツール〉の脚部、スタッキングした姿も美しい〈エレファント・スツール〉の形状はそのいい例だ。柳は『デザイン考』で、よいデザインを生みだすには優秀な技術者が欠かせないとも書く。技術と渾然一体となった創造性の追求で普遍性を追求した柳のデザインは、だからこそいまに生き続ける。
戦後日本のインダストリアルデザインを確立したデザイナー、柳宗理。その本格的な活動は物資がほとんどない第二次世界大戦後に始まる。その仕事は実に多彩で、工業製品、家具、食器にはじまり、札幌オリンピックの聖火台、東名高速道路の東京料金所防音壁、横浜市営地下鉄の設備などの公共物まで手がけた。いまなお、その仕事は私たちの生活に身近だ。
柳のデザインはモダンデザインの考えに則りながら、柳特有の造形感覚がそこに息づくことで知られる。傑作と名高い〈バタフライ・スツール〉は、塩化ビニルを無意識のうちに手で動かすなかで生まれた形だ。柳は『デザイン考』と題した文章のなかで、「創造の無いところに本当の意味のデザインはない」と書く。その前段で、デザインは人類の用途のためにあることを至上目的とすべきだと柳はいう。だからこそ、デザインには表面上の操作ではなく内部構造そのものを革新することが求められるのだと続ける。
他にない特徴を機能や技術によってデザインを追求すべきだとした柳。成形合板を用いた〈バタフライ・スツール〉、そしてFRPを用いた〈エレファント・スツール〉は、ともに新しい技術開発とそれに伴う新しい材料でデザインされた。それが同時に椅子の特徴となって形に表れる。同時に柳は生活をより良いものとすべく、細やかに機能性を追求した。畳み間での使用を考えた〈バタフライ・スツール〉の脚部、スタッキングした姿も美しい〈エレファント・スツール〉の形状はそのいい例だ。柳は『デザイン考』で、よいデザインを生みだすには優秀な技術者が欠かせないとも書く。技術と渾然一体となった創造性の追求で普遍性を追求した柳のデザインは、だからこそいまに生き続ける。
Loading...
