CULTURE
〈新素材研究所〉の素材の秘密を解き明かす新刊書籍『素材考』とは?
| Culture, Architecture, Design | casabrutus.com | text_Mari Matsubara editor_Keiko Kusano
建築家・榊田倫之による初めての著作『素材考 新素材研究所の試み』(平凡社)が出版された。現代美術作家・杉本博司と共に率いる〈新素研〉が得意とする、ユニークな素材づかいについて知ることができる一冊だ。
〈新素材研究所〉とは、2008年に杉本博司と榊田倫之によって設立された建築設計事務所だ。現代美術作家である杉本のコンセプトを、榊田が建築家として実際の建造物にまとめ上げる手腕を発揮し、これまで〈江之浦測候所〉や〈MOA美術館〉改装、硝子の茶室〈聞鳥庵〉、〈小田垣商店〉などの建造物の他、店舗やギャラリー、個人邸の設計、美術展会場構成などを手がけてきた。これまでに同所の作品を美しいビジュアルでまとめた書籍『Old Is New 新素材研究所の仕事』(平凡社刊)が上梓されているが、今回の新刊は榊田が単独で著者となり、「素材」を切り口として語られているのが特徴だ。
「旧素材こそもっとも新しい」をコンセプトに、日本古来の素材や伝統的な建築技法を取り入れる姿勢が業界内でも際立つ存在だからこそ、その仕事を解剖するのに素材そのものを知ることは欠かせない。大きく4章仕立てになっている本書は、さらに細かく素材ごとにまとめられている。そこには「屋久杉」「根府川石・小松石」「大谷石」など〈新素研〉ではおなじみの自然素材のほか、通常の現代建築ではまず使われないが〈新素研〉が好んで取り入れる「銘石古材」や「廃材」、あるいは同所が考案したオリジナルプロダクトとも言える「縦桟障子」「箒垣」などの項目も並んでいる。
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