CULTURE
〈いけばな草月流〉とコラボした、アダム・シルヴァーマンの作品集。
『カーサ ブルータス』2023年6月号より
| Culture, Art, Design | a wall newspaper | text_Aya Muto
アメリカ全土の材料を使用したアダム・シルヴァーマンの器に、〈いけばな草月流〉が生ける企画が一冊の本になりました。
カリフォルニアを拠点に活動を行う陶芸家アダム・シルヴァーマンの新たな作品集がリリース。ライトブルーの背景が印象的な『COMMON GROUND』は昨年ロサンゼルスで行われた、〈いけばな草月流〉LA支部とのコラボレーション展を記録した一冊となっている。
本のタイトルでもある「COMMON GROUND」は、アダムが2019年から取り組み始めたプロジェクト。アメリカという巨大な土地を、作陶の材料となる土、水、そして灰釉用の木などを通して、考察する試みである。2020年以降のパンデミック生活の中、SNSでの公募、メールや郵便を通しての遠隔作業によりアメリカ全土から集まった素材は、「この国の多様性と共通体験を同時に投影した器を作りたい」というアダムの思いを反映した、56点からなる作品群となった。
「作品が出来上がった時、建築家で友人のラヴィ・グンワーデナに相談したんです」とアダム。当時、〈いけばな草月流〉LA支部長としても活躍していたラヴィは、“アメリカを生け花で表現する”という企画展をそこで提案した。
本のタイトルでもある「COMMON GROUND」は、アダムが2019年から取り組み始めたプロジェクト。アメリカという巨大な土地を、作陶の材料となる土、水、そして灰釉用の木などを通して、考察する試みである。2020年以降のパンデミック生活の中、SNSでの公募、メールや郵便を通しての遠隔作業によりアメリカ全土から集まった素材は、「この国の多様性と共通体験を同時に投影した器を作りたい」というアダムの思いを反映した、56点からなる作品群となった。
「作品が出来上がった時、建築家で友人のラヴィ・グンワーデナに相談したんです」とアダム。当時、〈いけばな草月流〉LA支部長としても活躍していたラヴィは、“アメリカを生け花で表現する”という企画展をそこで提案した。
大の建築ファンでもあるアダムは、1989年に初めて日本を訪れた際、丹下健三設計の〈草月会館〉を訪れたという。1階にあるイサム・ノグチによる石庭《天国》もしかり、「〈いけばな草月流〉でのジャンルを超えてのコラボレーションは先代から受け継がれてきた哲学」だと第4代家元・勅使河原茜もこの本に寄せたインタビューで言及している。
2週間の展示は、美しい一過性のもの。ただ、写真家のジョシュア・ホワイトと多様なアレンジを記録撮影していくうちに、一冊の本にできる手応えがアダムにはあったという。
「『COMMON GROUND』は陶器を囲んだ交流が要のプロジェクト。様々な生け花作家との同時コラボレーションという、華やかで象徴的な体験を形に残したかったんです」
そうして出来上がった今回の作品集は、美術館の図録などを多く手がけるデザインスタジオ〈IN-FO.CO〉と協力し、フィールドガイドのような仕上がりに。アダム・シルヴァーマンと〈いけばな草月流〉とのコラボレーションの記録を、図録、エッセイ、インタビューなど様々な切り口から知ることができる本が生まれた。
2週間の展示は、美しい一過性のもの。ただ、写真家のジョシュア・ホワイトと多様なアレンジを記録撮影していくうちに、一冊の本にできる手応えがアダムにはあったという。
「『COMMON GROUND』は陶器を囲んだ交流が要のプロジェクト。様々な生け花作家との同時コラボレーションという、華やかで象徴的な体験を形に残したかったんです」
そうして出来上がった今回の作品集は、美術館の図録などを多く手がけるデザインスタジオ〈IN-FO.CO〉と協力し、フィールドガイドのような仕上がりに。アダム・シルヴァーマンと〈いけばな草月流〉とのコラボレーションの記録を、図録、エッセイ、インタビューなど様々な切り口から知ることができる本が生まれた。

『COMMON GROUND』
〈いけばな草月流〉LA支部とのコラボ展の写真記録と、現在進行形であるアダムの「COMMON GROUND」プロジェクトのプロセスを紹介。128ページ。6,000円。英語。Inventory Press刊 (2023)。
