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ルーヴル美術館のピラミッドに、名和晃平の新作が出現!

| Art, Travel | casabrutus.com | photo_Yuji Ono   interview&text_Mari Matsubara   editor_Yuka Uchida

来年2月にかけて、日仏友好160年企画〈ジャポニスム2018:響きあう魂〉と題し、展覧会や舞台公演など50以上のプログラムがフランス全土で催される。その幕開けとして、ルーヴル美術館のガラスのピラミッド内に現代美術家・名和晃平の巨大な彫刻作品が設置され、大きな注目を浴びている。

夕暮れ時のルーヴル美術館。ピラミッド内に名和晃平の新作〈Throne〉が輝く。
夕暮れ時のルーヴル美術館。ピラミッド内に名和晃平の新作〈Throne〉が輝く。
古今東西の祭事に使われる様々な山車の装飾や形状を参照して、現代によみがえらせた。構想と設計に4か月、造形と金箔の加工に7か月を要した。
古今東西の祭事に使われる様々な山車の装飾や形状を参照して、現代によみがえらせた。構想と設計に4か月、造形と金箔の加工に7か月を要した。
鏡面状の球体はプラチナ箔によるもの。彫刻の正面と背後に1つずつ付いている。正面の球は未来を見据える眼、背後の球は過去を見つめる眼。
鏡面状の球体はプラチナ箔によるもの。彫刻の正面と背後に1つずつ付いている。正面の球は未来を見据える眼、背後の球は過去を見つめる眼。
古今東西の祭事に使われる様々な山車の装飾や形状を参照して、現代によみがえらせた。構想と設計に4か月、造形と金箔の加工に7か月を要した。
鏡面状の球体はプラチナ箔によるもの。彫刻の正面と背後に1つずつ付いている。正面の球は未来を見据える眼、背後の球は過去を見つめる眼。
Q ものすごくインパクトのある彫刻ですが、まずはこの作品の概要を教えてください。

A タイトルは〈Throne〉。「玉座」という意味です。大きさは作品部分で高さ10.4m、幅は4.8mあります。ステンレスの骨組みにFRP(繊維強化プラスチック)で形をつくり、その表面に金箔を貼っています。重さは約3トンで、これはルーヴル側が許可した制限重量の上限。金箔は金沢産。箔貼りは京都の職人達に〈SANDWICH〉に通って作業してもらい、実現しました。

Q 「玉座」というタイトルは、何を意味しているのですか?

A 正面中央のやや下の部分に、子供用の小さな椅子のような部分があり、その場所は空いています。この作品の一番の目的は「空位の玉座」を見せること。ルーヴル美術館という場所は、古代から近世に至るまでの世界各国の宝物を所蔵・展示しています。それらは王権の時代に創造され、為政者の権威を象徴するものでもありました。そして、この美術館を象徴するのが、イオ・ミン・ペイ氏によって設計されたガラスのピラミッドです。現代では価値観が多様化し、権力の様相も一極集中の昔とは変わってきましたが、それでも権威というものは形や姿を変え、人間の性(さが)として存在していると思います。もしかしたら加速度的に進化する人工知能やコンピューターが近い将来、政治や経済を動かすかもしれない。空位の玉座には目には見えない存在が座る、そのような皆が持っている不穏な予感を表現しました。
なわこうへい 1975年生まれ。彫刻家、京都造形芸術大学大学院教授。クリエイティブ・プラットフォーム〈SANDWICH〉主宰。ビーズやプリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなどの多様な素材・表現方法で、造形の新たな可能性を切り拓く。
なわこうへい 1975年生まれ。彫刻家、京都造形芸術大学大学院教授。クリエイティブ・プラットフォーム〈SANDWICH〉主宰。ビーズやプリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなどの多様な素材・表現方法で、造形の新たな可能性を切り拓く。
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