ART
ジャン・ヌーヴェル設計の〈ルーヴル・アブダビ〉に行ってきました。
January 22, 2018 | Art, Architecture, Travel | casabrutus.com | (c)Louvre Abu Dhabi + Architecte : Jean Nouvel text_Kanae Hasegawa
紀元前35万年前の石片から現代のアート作品まで、人類の創造の歩みを一堂に集めた唯一無二の美術館をご紹介。
2017年11月、フランスの〈ルーヴル〉初の国外美術館〈ルーヴル・アブダビ〉がペルシャ湾に面したアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビにオープンした。〈ルーヴル美術館〉を始め、〈ケ・ブランリー美術館〉〈ポンピドゥーセンター〉〈ヴェルサイユ宮殿美術館〉などフランスが誇る13の美術館から300点もの宝がアブダビにお引越し。
設計はジャン・ヌーヴェル。意識したのはアラブの伝統文化だ。アラブ諸国で見られる入り組んだ市街地「メディナ」のような場を思い描いたという。この地域に多い箱型の低層建築を採用し、23の展示室、レストラン、ショップなど大小55の箱型の建物を2フロアに散りばめて配置した。その上に直径180m、エッフェル塔の重さという巨大な幾何学文様のドーム型の屋根が覆いかぶさる。
設計はジャン・ヌーヴェル。意識したのはアラブの伝統文化だ。アラブ諸国で見られる入り組んだ市街地「メディナ」のような場を思い描いたという。この地域に多い箱型の低層建築を採用し、23の展示室、レストラン、ショップなど大小55の箱型の建物を2フロアに散りばめて配置した。その上に直径180m、エッフェル塔の重さという巨大な幾何学文様のドーム型の屋根が覆いかぶさる。
ドーム型の屋根は重さ50トンの歪んだ直方体状のステンレススチールパーツを85個組み合わせて作られた。その上下に幾何学文様からなるアルミニウムのレイヤーを4層ずつ被せてある。レイヤー構造によって自然光が屈折して差し込み、木漏れ日のような効果をもたらす。幾何学文様は装飾的であると同時にアブダビの強烈な日差しを遮る実用面からアラブ建築に多くに見られる重要な要素。ドームの最高部の高さは45m。パリのポンピドゥーセンターが入るというから圧巻だ。
ドーム屋根の下、建物の周りを海水が流れて水上コテージの連なりを思わせる。実際、美術館は海の上に建つ。建設にあたり、まず膨大な量の土砂を海に運び込み、埋立地のように新たな土地を造成した。そこに4,500もの杭を打ち、コンクリートの基礎を設けた。美術館の一部は海面下10mにデザインされているため建設中に周りから海水が流れ込んでくる。それをせき止めるために護岸を造り、オリンピック競技用のプール52杯分の海水を抜いた。その後、建物全体が完成した後、護岸を取り払い、周りの海水を引き入れた。
美術館天井の上に取り付けたガラス天窓にドームが写り込む。貴重な美術品を展示する上で天窓を設けるなんて論外という意見もあった。しかし、アブダビという外部環境とのつながりを室内でも感じることは重要というアンリ・ロワレット元ルーヴル美術館館長の考えがあって天窓が採用された。もちろん展示室内の照度はセンサーで管理。差し込む自然光の強さに応じて逐次ブラインドが開閉する。最新テクノロジーを取り入れた建築は本家ルーヴル美術館がうらやむほど。
建築に地域性を反映させた一方で、美術品はグローバルな視点で収集された。主義主張の違いから衝突が多く、分断が強まる世の中だ。こうした中、〈ルーヴル・アブダビ〉は古今東西の美術を通して違いの中にも共通点があることに気づき、異質なものへの理解を促す一助になることを願ってつくられた。このヴィジョンのもと、フランス国内13の美術館から古代美術から現代アートまで約300点の作品を借用するとともに、300点あまりの美術品を独自に購入してきた。
建築に地域性を反映させた一方で、美術品はグローバルな視点で収集された。主義主張の違いから衝突が多く、分断が強まる世の中だ。こうした中、〈ルーヴル・アブダビ〉は古今東西の美術を通して違いの中にも共通点があることに気づき、異質なものへの理解を促す一助になることを願ってつくられた。このヴィジョンのもと、フランス国内13の美術館から古代美術から現代アートまで約300点の作品を借用するとともに、300点あまりの美術品を独自に購入してきた。
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