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開催中の大規模個展が話題の画家ヒルマ・アフ・クリント。デザイナー・皆川 明が語る彼女の魅力とは。

『カーサ ブルータス』2025年4月号より

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画家、ヒルマ・アフ・クリントの大規模回顧展が開幕。謎多き彼女の魅力をデザイナーの皆川 明さんに聞きました。

ヒルマ・アフ・クリントの作品集を見ながら、ルイジアナ美術館での作品との出会いを振り返るデザイナー・皆川 明。minä perhonen Fukuokaにて。photo_Yoshikazu Shiraki
ヒルマ・アフ・クリントの作品集を見ながら、ルイジアナ美術館での作品との出会いを振り返るデザイナー・皆川 明。minä perhonen Fukuokaにて。photo_Yoshikazu Shiraki
カンディンスキーよりも前に抽象絵画を描いた画家がいた!? そんな歴史を揺るがす一人の女性画家をご存じだろうか。

「彼女の絵を初めて見たのは、2014年にデンマークのルイジアナ美術館で開催された展覧会だったと記憶しています。ちょうど、ブランド20周年を記念した社員旅行の最中でした」

と語るのは、25年に創立30周年を迎える〈ミナ ペルホネン〉のデザイナー・皆川 明。ヒルマ・アフ・クリントはスウェーデンに生まれ、独自の霊的探求とともに抽象的な表現を生み出していた。
目玉は高さ3m超えの大作《10の最大物》。「この大きさを必要とした、絵が持つエネルギーを感じてほしいです」と皆川。《10の最大物,グループIV,No.7,成人期》 1907年。
目玉は高さ3m超えの大作《10の最大物》。「この大きさを必要とした、絵が持つエネルギーを感じてほしいです」と皆川。《10の最大物,グループIV,No.7,成人期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.3,青年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.3,青年期》 1907年。
目玉は高さ3m超えの大作《10の最大物》。「この大きさを必要とした、絵が持つエネルギーを感じてほしいです」と皆川。《10の最大物,グループIV,No.7,成人期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.3,青年期》 1907年。
「彼女の意図を完全に理解することはできませんが、彼女の絵に宿る精霊観は空想ではなく、頭の中にあるリアルなビジョンに対して忠実に描いているように思えるんです。僕自身も、空想を描いているようで、実は頭の中にはっきりと画像があって、それを表現している。だからこそ、彼女の絵に共感する部分が多いのかもしれません」と皆川。
《10の最大物,グループIV,No.2,幼年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.2,幼年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.9,老年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.9,老年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.2,幼年期》 1907年。
《10の最大物,グループIV,No.9,老年期》 1907年。
長らく限られた人々に知られるばかりだった彼女の作品だが、死後半世紀を経てNYの〈グッゲンハイム美術館〉で大規模な回顧展を開催。すると同館史上最多となる約60万人以上もの来場者を記録し、その革新性に再び光が当たるように。

「喜怒哀楽は言葉で表現されることが多いですが、彼女の作品はそれらの感情が混ざり合い、言葉を超えて伝わってきます。グッゲンハイムでの評価も、彼女の絵が言語を超えて世界中の人々の心に響いた証だと思います」

日本初公開の作品が一堂に会する展覧会で、色彩と形が紡ぐ独自の世界にじっくりと迫りたい。

『ヒルマ・アフ・クリント展』

〜2025年6月15日。〈東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー〉東京都千代田区北の丸公園3-1。10時〜17時(金・土〜20時)。月曜、5月7日休。一般2,300円。

Hilma af Klint

Hilma af Klint

ヒルマ・アフ・クリント 1862年スウェーデン生まれ。当時の女性としては珍しく職業画家として活動。一方で神秘主義思想に傾倒し4人の女性と「5人(De Fem)」を結成。独自の抽象表現を創案した。1944年逝去。

話を聞いた人:皆川 明

みながわあきら デザイナー。1967年東京都生まれ。95年に100年続くブランドを目指し、後に〈ミナ ペルホネン〉となる〈ミナ〉を設立。5月に東京で個人のアート作品を発表する。

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