ART
マティスの色彩と光を体感できる展覧会へ|青野尚子の今週末見るべきアート
March 28, 2024 | Art, Architecture, Design, Fashion | casabrutus.com | photo_Shin-ichi Yokoyama text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
マティスが手がけた〈ヴァンスのロザリオ礼拝堂〉が東京にやってきました。礼拝堂内部の原寸大展示のほか、建築と呼応する大作《花と果実》など、見逃せないポイントが満載です。
晩年を南仏ニースで過ごしたアンリ・マティス。彼とその相続人はニース市に絵画、彫刻などを寄贈する。そのコレクションを中心として1963年に〈ニース市マティス美術館〉が開館した。『マティス 自由なフォルム』は〈ニース市マティス美術館〉のコレクションを中心に150点以上を展示する大回顧展。「切り紙絵」を中心に巨匠の生涯をたどることができる。
展覧会は初期のマティスが色彩へと向かっていった軌跡「色彩の道」から始まる。このセクション1では《マティス夫人の肖像》や点描で描かれた《日傘を持つ婦人》に注目したい。「マティスは色彩によって空間や奥行きを表現できないか、と考えていました」と国立新美術館主任研究員の米田尚輝さんはいう。
たとえば《マティス夫人の肖像》では顔のオレンジ色と背景の緑色は、右半分と左半分で色調が異なっている。この色の違いは奥行きの違いを表している。印象派の画家たちが光を色で表現しようとしたのとは違うアプローチだ。
たとえば《マティス夫人の肖像》では顔のオレンジ色と背景の緑色は、右半分と左半分で色調が異なっている。この色の違いは奥行きの違いを表している。印象派の画家たちが光を色で表現しようとしたのとは違うアプローチだ。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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