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夭折の画家・中園孔二の駆け抜けた軌跡を追う1冊。

『カーサ ブルータス』2023年10月号より

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将来を嘱望されながら25歳でこの世を去った中園孔二。多くの人々の証言をもとに、その生涯に迫る1冊が完成。

《無題》(2012年)。大学の卒業制作展に出品された作品。同展を訪れた〈小山登美夫ギャラリー〉の小山が購入した。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2012年)。大学の卒業制作展に出品された作品。同展を訪れた〈小山登美夫ギャラリー〉の小山が購入した。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2015年)。亡くなった年に高松のアトリエで制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2015年)。亡くなった年に高松のアトリエで制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2012年)。大学の卒業制作展に出品された作品。同展を訪れた〈小山登美夫ギャラリー〉の小山が購入した。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2015年)。亡くなった年に高松のアトリエで制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
現在、過去最大規模の個展が開催されているなど、近年あらためて注目を集める中園孔二。東京藝術大学に在学中からキュレーターが作品を購入し、卒業の1年後には個展が開かれるなど、キャリアの初期から高い注目を集めていたが、香川にアトリエを構えていた2015年に25歳の若さで、瀬戸内の海で帰らぬ人となった。

『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』は彼の初となる評伝。著者の村岡俊也はこの本を書き始めた経緯について、こう語る。

「中園さんの作品を初めて見た時、正直、よくわからないという印象を抱いたんです。でもその後、ずっと心に引っかかるものがあって、忘れられなかった。その“わからなさ”“忘れられなさ”を何とか理解したいという動機が、本を書くスタート地点になりました」
《無題》(2012年)。いくつものイメージが重なる中園の作品世界を象徴するような1枚。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2012年)。いくつものイメージが重なる中園の作品世界を象徴するような1枚。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《ポスト人間》(2007年)。鎌倉の美大予備校に在籍していた高校3年生の時に制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《ポスト人間》(2007年)。鎌倉の美大予備校に在籍していた高校3年生の時に制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
24年間の半生を振り返るようなマンガ。中園はノートにメモやスケッチを大量に書き残しており、書籍でもそのいくつかを収録している。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
24年間の半生を振り返るようなマンガ。中園はノートにメモやスケッチを大量に書き残しており、書籍でもそのいくつかを収録している。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《無題》(2012年)。いくつものイメージが重なる中園の作品世界を象徴するような1枚。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
《ポスト人間》(2007年)。鎌倉の美大予備校に在籍していた高校3年生の時に制作した作品。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
24年間の半生を振り返るようなマンガ。中園はノートにメモやスケッチを大量に書き残しており、書籍でもそのいくつかを収録している。(c) Koji Nakazono, Nakazono Family ; courtesy Tomio Koyama Gallery
書籍では幼少期から香川の海で亡くなるまで、ほぼ時系列にその歩みを辿る。両親や各時期に出会った友人、大学時代のアルバイト先の店主、当時の彼女など、中園がともに過ごした多くの人々の証言が、その人物像を浮かび上がらせていく。そのどれもがパーソナルな思い出であり、各人が誠実に中園と向き合った当時を思い起こして語っている。

「話を聞いたすべての人の中に今も中園さんがいて、それぞれの中園さんに会わせてもらうような感覚でした。自分は直接中園さんに会ったことがないので、どれだけ迫っても辿り着けはしないわけです。でも中園さんという球体を表すためには、多くの人に話を聞き、できるだけ滑らかな多面体に近づけるしかない。そうやって球体の中園さんを目指しました」

作品と作家自身の存在をどう扱うかは芸術鑑賞において難しい問題だが、この本を読めばわかるように、中園の作品には彼自身の存在が分かちがたく結びついている。書籍を通してその軌跡を知ることで、中園作品の描き出す景色に、より近づくことができるだろう。

「できれば読んだ後にも、実際に絵を見てみてほしい。そうすると中園さんに“会える”、中園さんが“そこにいる”ように感じると思います」
なかぞのこうじ

なかぞのこうじ

1989年神奈川県生まれ。2012年東京藝術大学卒業。2015年没。9月18日まで〈丸亀市猪熊弦一郎現代美術館〉にて最大規模の個展が開催中。

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