スポーツとアートの関係性? T-HOUSE New Balanceで5人のアーティストが挑むインスタレーション。
April 6, 2023 | Art, Architecture, Design, Fashion | PR | text_Yoshinao Yamada
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ランニングをテーマとするのは荒木悠。アメリカで彫刻と日本で映像を学んだ荒木は、英語圏では「鋳造」と「配役」がともに「キャスティング(casting)」と呼ばれていることを起点に、オリジナルからコピーがつくられる過程で生じる差異を再現・再演・再生といった表現手法で探究する作家。左はアメリカ・ナッシュビルにある神殿、右はスコットランド・エジンバラにある〈スコットランド国立記念碑〉で、ともにそのファサードはギリシア・アテネの〈パルテノン神殿〉のレプリカとなっている。
サッカーをテーマにするのは安原千夏。安原は映像がもつ不可視性への興味から、映像の中の世界とこちらの世界をつなぐスクリーンに関心をもつ作家。ここではないどこかに接続することを「スクリーン的」と広く解釈し、多様なメディアを用いて制作を行う。
フレームには上下左右の4方向から、実際に行われた4つの試合シーンが重ねられている。試合中継の観戦時、人はさまざまな視点から試合を楽しみながら、選手観客ともにひとつのボールを追いかけ続ける。4つの瞬間の重なりが、その動的な視点を意識させる。
水泳をテーマにするのは臼井良平。臼井は、ペットボトルなどのプラスチック容器をガラスで再現するシリーズのほか、写真、自然物、既製品など多様な媒体を交えた展示、インスタレーションを展開することで知られる。ここではTシャツとともに置かれるペットボトルをガラスで表現。人の身体を構成する大部分でもある水を表現しながら、透明性への欲求と奥行きを表現する。
テニスをテーマにするのはユニ・ホン・シャープ。記録や個人的な記憶を出発点に、構築されたアイデンティティの不安定さと多重性、記憶の持続をめぐり、身体・言語・声・振付を通じてその具現化を試みる作家。ここでは過去に発表した、透明なラケットを手に、見えない相手と対決するパフォーマンス『対決』を再構成し、ラケットとともに『対決』のスコアを出品する。
バスケットボールをテーマにするのは玉山拓郎。玉山は、家具や日用品のような身近にあるイメージを参照して生み出されたオブジェクト、映像の色調、モノの律動、鮮やかな照明や音響などの組み合わせで緻密なコンポジションをもった空間を表現する作家。吹き抜けに三次元の球体と一次元の線=パイプを吊り、パイプの反対側にはモップを置き、パイプから漏れる光がシュートの軌道を思わせる。
〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉は、2023年春夏よりアパレルラインをアップデートし、パフォーマンス・ライフスタイルコレクション「Uni-ssentials by TDS(ユニ センシャルズ バイ ティーディーエス)」を発表。その新作が販売されている。
『NOT FAR』に掲載された、これまでの連載エッセイ〈ANOTHER DIAGRAM〉のテキストも配布されている。