ART
【インタビュー】諏訪敦による、「視ること、そして現すこと」への問いと答え。
January 17, 2023 | Art | casabrutus.com | photo_Kenya Abe text_Hikari Torisawa
硬質さの漂う細密な描法で現代における写実絵画の価値を問い、その変容と拡張に挑む画家・諏訪敦の展覧会『眼窩裏の火事』が、東京〈府中市美術館〉で開催されている。終戦直前に満州へ渡った家族の歴史と記憶を辿るプロジェクト、コロナ禍という制約を逆手にとった静物画の探求、そして90年代から描き、今なお追い続ける舞踏家・大野一雄の肖像などを集めた大規模個展を訪ね、画家に話をきいた。
諏訪敦にとって、国内の公立美術館では11年ぶりとなる個展『眼窩裏の火事』は、「第一章 棄民」、「第二章 静物画について」、「第三章 わたしたちはふたたびであう」と題した三部構成からなる。展覧会のはじまりは、満州に病没した祖母と家族を描く《棄民》が主題。展示室に足を踏み入れると、正面へ、左へ、右からさらに奥へと視線が惹きつけられ往還する。
「《棄民》プロジェクトは、1999年に亡くなった父が遺した手記からはじまった、家族の記憶とも呼ぶべきものです。終戦後の満州で国から捨てられ、難民となったことへの疑問を抱えたまま死んでいった父の手記を読み、幼い日の彼が見た風景を、どうしたら自分の目で見ることができるのかを考えました。彼が何を疑い、責任を問うていたのかを探りたくなったし、知ってしまったからにはなかったことにはできなくなってしまったんです」(諏訪)
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