ART
黒と白が作り上げる革新的なアート。『ヴァロットン−黒と白』が 〈三菱一号館美術館〉で開催。
September 21, 2022 | Art, Design | casabrutus.com | text_Midori Yamagata editor_Keiko Kusano
ナビ派の画家、フェリックス・ヴァロットンの木版画をまとめて観ることのできる貴重な展覧会が、10月末から〈三菱一号館美術館〉で行われます。
19世紀末から20世紀にかけてパリで活躍したナビ派の画家フェリックス・ヴァロットン。スイス・ローザンヌで生まれた彼は16歳からパリの〈アカデミー・ジュリアン〉で学び、19歳の時にフランス芸術家協会のサロンに初入選を果たす。当時は肖像画などを中心に制作していたが、友人の画家シャルル・モランの手解きで木版画に着手。リトグラフの発明で多色刷りが主流だった版画の世界で、黒一色で刷られたヴァロットンの木版画は美術界に衝撃を与えた。
時代の先端であったパリはヴァロットンのインスピレーションの源であり、なかでも彼の興味を惹きつけたのは社会の暗部を露呈する事件や人々の営み。皮肉と風刺が効いたブラック・ユーモア的な視線でリアルな世紀末のパリを描写しながら、彼は斬新な着眼点とフレーミング、モティーフの単純化など木版画に独自の作風を切り開いていく。グラデーションやハッチングを用いず、不穏な遠近法や平面的パターンを重視したのは当時のパリで流行した浮世絵の影響もあったのだろう。新聞や雑誌に掲載されたヴァロットンの木版画は、ヨーロッパのみならずアメリカでも話題となった。当時、芸術家による創作版画〈レスタンプ・オリジナル〉の機運が高まるなか、彼は木版画復興の立役者の一人となっていく。
時代の先端であったパリはヴァロットンのインスピレーションの源であり、なかでも彼の興味を惹きつけたのは社会の暗部を露呈する事件や人々の営み。皮肉と風刺が効いたブラック・ユーモア的な視線でリアルな世紀末のパリを描写しながら、彼は斬新な着眼点とフレーミング、モティーフの単純化など木版画に独自の作風を切り開いていく。グラデーションやハッチングを用いず、不穏な遠近法や平面的パターンを重視したのは当時のパリで流行した浮世絵の影響もあったのだろう。新聞や雑誌に掲載されたヴァロットンの木版画は、ヨーロッパのみならずアメリカでも話題となった。当時、芸術家による創作版画〈レスタンプ・オリジナル〉の機運が高まるなか、彼は木版画復興の立役者の一人となっていく。
世界有数のヴァロットン・コレクションを誇る〈三菱一号館美術館〉でスタートする展覧会では、ヴァロットン版画の真骨頂である連作〈アンティミテ〉をはじめ、希少性の高い連作〈楽器〉、〈万国博覧会〉、〈これが戦争だ!〉などの作品群を一挙初公開。ヴァロットンの芸術性の進化とその革新性をあますことなく堪能できる構成となっている。
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