ART
銀座のシャネルで「伝統」を受け継ぐ人々を捉えた写真展。
August 25, 2016 | Art | casabrutus.com | text_Keiko Kusano
世界中の「伝統の技」を軸に、それを受け継ぐ人々の姿を捉えた写真展がシャネル・ネクサス・ホールで開かれる。イタリア出身の写真家夫妻が5年以上にわたって撮り続けた、伝承される技術と人々の姿とは。
遊牧民をテーマにした作品などで知られるティツィアーナとジャンニ・バルディッツォーネ夫妻。彼らが2010年から5年以上にわたって取り組んできたのは、伝統の技を師匠から弟子へと引き継ぐ姿だ。師弟関係という、一見、目には見えない関係性、そして一朝一夕には習得できない技術を、どう捉えるかについて向き合ってきた。
ヨーロッパからアジア、アフリカの各地へと旅をするなか、夫妻は40種類を超える分野にわたり、100人以上の師弟に出会う。陶芸、書道、武術……多岐にわたる分野で、それぞれの人々の姿が活き活きと切り取られた写真は、人々の小さな営みが積み重なって文化を創り出してきたということを思い出させてくれる。
伝統と革新、世代を超えた交流、文化的な多様性、文化遺産の保護など、写真の背景にはさまざまな事象が透けて見えてくる。展覧会のタイトルには「伝達」を意味する『Transmission』という言葉が使われている。彼らの作品に出会った観客は、今度は自分が何を「伝達」できるのか、考えていくことになるのかもしれない。
『TRANSMISSIONS people-to-people』
〈シャネル・ネクサス・ホール〉
東京都中央区銀座3-5-3シャネル銀座ビルディング4F TEL 03 3779 4001。9月2日〜30日。12時〜20時。無休。入場無料。公式サイト