ART
平山昌尚とオードリー・フォンドゥカヴの二人展。シュールレアリストの手法“優美な屍骸”から生まれた共作とは?
| Art | casabrutus.com | text_Yuka Uchida editor_Keiko Kusano
アーティストの平山昌尚と、ペインティングやコラージュを制作する傍ら、『Too Much Magazine』の編集者としても活動するオードリー・フォンドゥカヴ。2人が、2020年の1年をかけて共同制作した、伸びやかなドローイング作品を発表します。
コロナ禍で思うように人と会えなかった2020年。アーティストの平山昌尚とオードリー・フォンドゥカヴは、白い紙を往復させながら、共同でドローイングを描くユニークな実験を始めた。ヒントにしたのは、20世紀初頭にシュールレアリストたちが生み出した、ゲームのような共同制作の手法「優美な屍骸(Cadavre Exquis)」だ。
ゲームは複数の参加者で行われる。まず1人目が、細長い紙の端に絵を描き、自分が描いた部分が見えないように紙を折って、次の参加者に渡す。紙は折られているが、わずかに絵が見えるようにしているので、そこと繋げるようにして新たに絵を描き加える。これを繰り返し、最後の一人が描き終わったら完成。紙を広げると、予想もつかない絵が仕上がっている。
ゲームは複数の参加者で行われる。まず1人目が、細長い紙の端に絵を描き、自分が描いた部分が見えないように紙を折って、次の参加者に渡す。紙は折られているが、わずかに絵が見えるようにしているので、そこと繋げるようにして新たに絵を描き加える。これを繰り返し、最後の一人が描き終わったら完成。紙を広げると、予想もつかない絵が仕上がっている。
フランスにいた美大生時代からこのゲームに親しんできたオードリーは、彼女が知っている中でも最も直感的なアーティストである平山に声をかけ、プロジェクトがスタートした。紙を切ったり、貼ったり、コラージュの要素も加えながら生み出された、伸びやかな線と色。タイトルの「101 to 101」は、二人がそれぞれ住んでいた渋谷区と世田谷区の部屋が、偶然にも同じ101号室だったことから。2020年の1年間をかけて、101号室と101号室を往復した、いくつものドローイングが完成した。
会場ではこれらの作品を軸に、制作期間中に交わした手紙なども展示される。デザイナーの前田晃伸が手がけた作品集『101 to 101』(Too Much Magazine刊)も注目だ。
会場ではこれらの作品を軸に、制作期間中に交わした手紙なども展示される。デザイナーの前田晃伸が手がけた作品集『101 to 101』(Too Much Magazine刊)も注目だ。
11月27日(土)には2人が揃って登壇するトークショーも開催。聞き手に『Too Much Magazine』編集長の辻村慶人を迎え、このプロジェクトが生まれた経緯や、2020年をそれぞれがどう過ごしていたかなど、制作の裏側が語られる。
行動の自由を奪われた月日に、2人のアーティストが見出した遊び心ある表現。コロナ禍は今なお続いているが、彼らの共作からポジティブなパワーを受け取れるはずだ。
行動の自由を奪われた月日に、2人のアーティストが見出した遊び心ある表現。コロナ禍は今なお続いているが、彼らの共作からポジティブなパワーを受け取れるはずだ。
オードリー・フォンドゥカヴ 平山昌尚 二人展 「101 to 101」
〈nidi gallery〉150-0011 東京都渋谷区東2-27-14 #102。2021年11月26日〜12月17日まで。TEL 03 6277 5579。12時〜19時(11月27日のみ13時〜)。月曜・火曜休。2021年11月27日は、12時〜12時40分頃までトークイベントを開催(要予約・参加費1000円・定員10名)、13時〜14時までサイン会を開催(予約不要)。
オードリー・フォンドゥカヴ
フランス生まれ。2001年より東京を拠点に活動。ペインティングやコラージュ、インスタレーションなど、多岐にわたる表現形式を用いて作品を制作。近年は岩絵具などの有機的な素材による抽象画に取り組んでいる。また、「Too Much Magazine」の編集者、子どものための美術教育者など、多彩な顔を持つ。
平山昌尚
ひらやま まさなお 1976年 神戸生まれ。 絵画、ドローイング、パフォーマンス、東京を拠点に活動。
