ART
アーティスト・金氏徹平の新しい3つの顔|青野尚子の今週末見るべきアート
| Art, Culture | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
身近な日用品を変容させたオブジェや演劇とのコラボレーションで知られるアーティスト、金氏徹平。都内3カ所での展覧会で、彼の新しい顔を見ることができます。他者との対話や新しい技法から彼が生み出したものは?
8月20日から都内2つのギャラリーで始まった金氏徹平のグループ展と個展。グループ展のほうは村田沙耶香、デヴィッド・シュリグリーが参加して表参道の〈GYRE GALLERY〉で開かれている『村田沙耶香のユートピア 正常の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー≡金氏徹平』と題されたものだ。
村田沙耶香は『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した作家であり、金氏は同書のカバーに作品を提供している。シュリグリーは〈水戸芸術館〉で個展を開催したこともあるイギリスのアーティスト。今回、村田の著書の英訳を読んだ彼はさっそく30点もの新作ドローイングを制作、会場にはそのうち15点が展示されている。村田の本を軸に三者の対話が生まれた。
村田沙耶香は『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した作家であり、金氏は同書のカバーに作品を提供している。シュリグリーは〈水戸芸術館〉で個展を開催したこともあるイギリスのアーティスト。今回、村田の著書の英訳を読んだ彼はさっそく30点もの新作ドローイングを制作、会場にはそのうち15点が展示されている。村田の本を軸に三者の対話が生まれた。
会場には人体骨格模型と機械かおもちゃの部品を組み合わせたオブジェや、日用品を組み合わせて白い塗料をかけた金氏の作品が並ぶ。壁に空いた穴からひもやバットを握った手が飛び出しているように見えるものも。壁に唐突に現れるテキストは村田の著書からの抜粋だ。ときに字が反転していたりして、謎めいた余韻を残す。村田が学生時代に手がけた油彩画も並んでいる。
もう一つの会場である銀座の〈リコーアートギャラリー〉での個展『S.F. (Splash and Fragments)』では、リコーの新技術を使った「StareReap」(ステアリープ)というプロジェクトによる金氏の作品が展示されている。一眼レフカメラや赤外線カメラによる精密な3Dスキャン、それから制作した3Dデータ、23μm(ミクロン)の単位で立体再現できるインクジェット、立体へのプリントに特化したインクなどによって、平面と立体の間にあるものを具現化できる。
Loading...

青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
