ART
ラジオ片手に温泉地を歩く。“見えないアート”体験とは?
January 8, 2021 | Art, Travel | casabrutus.com | photo_Satoshi Nagare text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
ひとりの作家による個展形式で開かれる芸術祭「in BEPPU」。今年は梅田哲也が“見えないアート”をつくりました。場の見え方が変わってくるアートについて、作家本人に話を聞きました。
大分県別府市で2016年から始まった芸術祭『in BEPPU』は毎年1組のアーティストを招聘し、地域の特性を活かしたプロジェクトを行うというもの。これまで目、西野達、アニッシュ・カプーア、関口光太郎らが作品を展示してきた。今回、登場するのは梅田哲也。音楽、美術、舞台芸術など複数のジャンルを横断しながら活動しているアーティストだ。
梅田の作品《O(ゼロ)滞》は別府市内の各所に散らばっている。地図を片手にその場所を訪れてみると、一見、何の変哲もなさそうな光景が広がっているばかりだ。けもの道しかない藪の中など、普段は人が立ち入らないようなところもある。
地図に記載されたスポットのひとつ、〈鶴見園〉はかつて「西の宝塚」と呼ばれた女優歌劇が演じられた大遊園地〈鶴見園〉の跡地。その後米軍のキャンプ地として接収され、接収解除後に建設されたレジャーセンターもわずか7年で廃業したという、紆余曲折を経た土地だ。船原山中腹にある落差60mの神秘的な〈乙原の滝〉は水音から名づけられた「音原」の地名がもとになっている。観光地である火山の噴火口〈塚原温泉 火口乃泉〉など、他では見られない珍しい光景もあるが、どのスポットでもアーティストが景色に手を加えているわけではない。
地図に記載されたスポットのひとつ、〈鶴見園〉はかつて「西の宝塚」と呼ばれた女優歌劇が演じられた大遊園地〈鶴見園〉の跡地。その後米軍のキャンプ地として接収され、接収解除後に建設されたレジャーセンターもわずか7年で廃業したという、紆余曲折を経た土地だ。船原山中腹にある落差60mの神秘的な〈乙原の滝〉は水音から名づけられた「音原」の地名がもとになっている。観光地である火山の噴火口〈塚原温泉 火口乃泉〉など、他では見られない珍しい光景もあるが、どのスポットでもアーティストが景色に手を加えているわけではない。
地図に表示された複数の場所で、あらかじめ渡されたラジオにヘッドホンを装着すると何かが聞こえてくる。男女の会話だったり、詩のようなものの朗読だったり、お囃子のようなものだったり。雨か水の音が聞こえてくることもある。歩いて行くと音が途切れることもあるし、違う会話が聞こえてくることもある。同じ場所でも人によって聞こえたり聞こえなかったり、あるいは内容が異なることもあるのだという。それぞれ聞こえるポイントはけっこう離れていて、回るのは大変かもしれない。すべての音源を聞き取ったのかどうか確信が持てないまま、次へと進むことになる。
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