ARCHITECTURE
2024年プリツカー賞建築家、山本理顕が考えるコミュニティと建築の関係性。
『カーサ ブルータス』2024年5月号より
April 19, 2024 | Architecture | a wall newspaper | text_Naoko Aono
コミュニティのあり方と建築の関係性に着目している山本理顕。プリツカー賞受賞について思うことを聞きました。
“建築界のノーベル賞” とも言われ、毎年その行方が大きな注目を集めるプリツカー賞。今年の受賞者は山本理顕、日本人では9人目の快挙だ。
審査委員長のアレハンドロ・アラベナは、山本の建築について「パブリックとプライベートの境界線を慎重に揺るがし、人々が集まって交流する機会を増やす」と評する。山本は以前から「地域社会圏」というコンセプトを標榜してきた。人々が住宅や施設の中に閉じこもるのではなく、さまざまな関係性を作り出せるような建築だ。そこでは建築と外側との関係を設計することが重要になるという。たとえばスイスのチューリヒ国際空港の複合施設〈ザ・サークル〉では「路地のある小さな町のようなものをつくりたい」というのが目標のひとつだった。
「町の中心部から電車で15分ほどのところなので、空港の利用者だけでなく、町の人にも活用してもらいたい。そのために24時間誰でも入れるような作りにしました。簡単な屋根をかけただけなので雨や風も入ってきます」
審査委員長のアレハンドロ・アラベナは、山本の建築について「パブリックとプライベートの境界線を慎重に揺るがし、人々が集まって交流する機会を増やす」と評する。山本は以前から「地域社会圏」というコンセプトを標榜してきた。人々が住宅や施設の中に閉じこもるのではなく、さまざまな関係性を作り出せるような建築だ。そこでは建築と外側との関係を設計することが重要になるという。たとえばスイスのチューリヒ国際空港の複合施設〈ザ・サークル〉では「路地のある小さな町のようなものをつくりたい」というのが目標のひとつだった。
「町の中心部から電車で15分ほどのところなので、空港の利用者だけでなく、町の人にも活用してもらいたい。そのために24時間誰でも入れるような作りにしました。簡単な屋根をかけただけなので雨や風も入ってきます」
中国・北京の〈建外SOHO〉は低層部に商業施設が入った集合住宅。当時、中国では防犯のため建物を塀で囲んだゲーテッド・コミュニティにすることが流行していたが、山本はそれをやめて誰もが商業施設に入ってこられるようにした。「巨大な建物を公園のようにしたプロジェクトです」と山本は振り返る。
〈広島市西消防署〉にはガラス張りの見学テラスがあり、消防隊の訓練の様子を見学できる。併せて火災防止などの啓蒙活動も行っており、それがコミュニティの形成による防災につながる。
「ふだんから挨拶や世間話をする仲なら非常時にも『あの家のおばあさんはいつも2階に寝ている』というように救助もうまくいく」
〈広島市西消防署〉にはガラス張りの見学テラスがあり、消防隊の訓練の様子を見学できる。併せて火災防止などの啓蒙活動も行っており、それがコミュニティの形成による防災につながる。
「ふだんから挨拶や世間話をする仲なら非常時にも『あの家のおばあさんはいつも2階に寝ている』というように救助もうまくいく」
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