ARCHITECTURE
国登録有形文化財を有する宿〈沼津倶楽部〉が生まれ変わりました。
July 8, 2023 | Architecture, Food, Travel | casabrutus.com | photo_Yoichi Nagano text_Yumiko Ikeda editor_Ai Sakamoto
築110年の数寄屋造と建築家・渡辺明の設計による宿泊棟で知られる宿が、2023年6月リニューアルオープン。スイートルームとレストランが一新され、話題を呼んでいます。
沼津駅から車で約10分。駿河湾の海岸線に沿って美しい黒松の林が続く千本松原のほど近くに〈沼津倶楽部〉は建つ。
1907年、ミツワ石鹸の二代目当主・三輪善兵衛により、約3,000坪の庭園の中に建てられた数寄屋造の別邸〈松岩亭(しょうがんてい)〉がその始まり。「千人茶会を行いたい」という善兵衛の希望を叶えるべく、当代随一と謳われた大工棟梁・柏木祐三郎が手がけた。
老朽化が進み、長い間利用されていなかった建物を修復し、〈二期倶楽部〉や集合住宅〈W・HOUSE〉などで知られる建築家・渡辺明による全8室の宿泊棟を増設して、2008年に再興。15年の時が流れた2023年6月、建築の意匠はそのまま継承しつつ修繕を加え、新たなステージを歩み始めた。
1907年、ミツワ石鹸の二代目当主・三輪善兵衛により、約3,000坪の庭園の中に建てられた数寄屋造の別邸〈松岩亭(しょうがんてい)〉がその始まり。「千人茶会を行いたい」という善兵衛の希望を叶えるべく、当代随一と謳われた大工棟梁・柏木祐三郎が手がけた。
老朽化が進み、長い間利用されていなかった建物を修復し、〈二期倶楽部〉や集合住宅〈W・HOUSE〉などで知られる建築家・渡辺明による全8室の宿泊棟を増設して、2008年に再興。15年の時が流れた2023年6月、建築の意匠はそのまま継承しつつ修繕を加え、新たなステージを歩み始めた。
今回のリニューアルオープンに際し、話題を集めたのが数寄屋造にお目見えしたモダンチャイニーズレストラン〈茶亭〉だ。料理監修を務めたのは、鎌倉〈イチリンハナレ〉の齋藤宏文シェフ。静岡県御殿場市出身ということもあり、県産食材を積極的に使う。
自店と同様、“分解と再構築”をテーマに掲げ、なじみのある中華料理に新たな要素を加えてオリジナルのひと皿に。「生まれ育った静岡の食材を使う料理をその土地で食べてもらうことは、自分にとって初めての経験。駿河湾の魚介をはじめとした、沼津の自然の恵みを味わえるコースで、特別な体験をしてほしい」という。
自店と同様、“分解と再構築”をテーマに掲げ、なじみのある中華料理に新たな要素を加えてオリジナルのひと皿に。「生まれ育った静岡の食材を使う料理をその土地で食べてもらうことは、自分にとって初めての経験。駿河湾の魚介をはじめとした、沼津の自然の恵みを味わえるコースで、特別な体験をしてほしい」という。
例えば、〈イチリンハナレ〉のスペシャリテとして知られるよだれ鶏。柔らかな肉質で甘みが強い県産の美味鶏を使い、ゴマやナッツの風味が香ばしい自家製辣油と2種の黒酢で作ったタレをスープの如く器にたっぷりと注ぐ。まず鶏を味わい、次にもっちりとした皮でジューシーな豚肉餡を包んだ餃子、最後に山椒を練り込んだ爽やかなオリジナル麺をタレに絡めて食べる“3度おいしい”一品だ。
また最高級のヨシキリザメを用いたフカヒレ姿煮は、伝統メニューにシェフの遊び心をプラス。煮込む前にフカヒレを炙ることで香ばしさをまとわせたり、同じスープを使った少量のリゾットを途中でサーブしたり。
料理に合わせるドリンクは、県内にあるブルワリーのクラフトビールや紹興酒のほか、ブルゴーニュを中心にセレクトしたワインのペアリングも。こだわりのほうじ茶やモクテル、ティーペアリングなど、ノンアルメニューも用意する。
また最高級のヨシキリザメを用いたフカヒレ姿煮は、伝統メニューにシェフの遊び心をプラス。煮込む前にフカヒレを炙ることで香ばしさをまとわせたり、同じスープを使った少量のリゾットを途中でサーブしたり。
料理に合わせるドリンクは、県内にあるブルワリーのクラフトビールや紹興酒のほか、ブルゴーニュを中心にセレクトしたワインのペアリングも。こだわりのほうじ茶やモクテル、ティーペアリングなど、ノンアルメニューも用意する。
〈茶亭〉がある数寄屋造は、すべての部屋を茶室として設計した「集合茶亭」。北と南、2つの棟を渡り廊下が結ぶ構成で、田の字形の平面を持つ広間や、京都から移築された三畳台目(さんじょうだいめ)の茶席、和洋折衷の洋間など、多彩な空間がゲストをもてなす。
国登録有形文化財にも指定される数寄屋造で、日本庭園を眺めながらいただく料理は、また格別だ。
国登録有形文化財にも指定される数寄屋造で、日本庭園を眺めながらいただく料理は、また格別だ。
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