ARCHITECTURE
新時代の序章となるか? 第18回『ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』詳細レポート。
July 3, 2023 | Architecture, Art, Design | casabrutus.com | text_Megumi Yamashita @architabi editor_Keiko Kusano
Laboratory of the Future - 「未来のための実験場」をテーマに開催中の『ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』。今回は総合キュレーターを初のアフリカ系となるレズリー・ロッコが務め、展示も半数以上がアフリカをはじめとする「グローバルサウス」系に。男女比は50:50、展示者の平均年齢も43歳とグッと若返り、時代の変化をリアルに感じる内容になっている。
「建築のオリンピック」とも言われる「未来の実験室」がテーマの国際展。参加国は前回の46カ国から64カ国に増え、ジャルディーニ会場の各国パビリオンのほか、アルセナーレ会場や市内の各所で展示を行っている。総合キュレーターを務めるレズリー・ロッコは未来を考える上で重要となるのが「脱炭素」と「脱植民地主義」であり、この2つを切り離して語ることはできないと考える。
「アフリカはどのように暮らしたいか、どのように暮らすべきか、どのように暮らしたくないか、そのことを模索する実験場でもあります」(レズリー・ロッコ)
「先進国」によって搾取された歴史や、搾取の延長で引き起こされた気候変動に直面しながら、逞しく賢く暮らすアフリカなど「開発途上国」や、各国で暮らすディアスポラ(移民)のコミュニティ。サステナブルな未来のためには「先進国」が「開発途上国」から学ぶところは多いことを投げかける。昔ながらの建設手法や先人の知恵、儀式のようなものも含めて提示し、これまでの建築展とはかなり異なる内容になっている。
「アフリカはどのように暮らしたいか、どのように暮らすべきか、どのように暮らしたくないか、そのことを模索する実験場でもあります」(レズリー・ロッコ)
「先進国」によって搾取された歴史や、搾取の延長で引き起こされた気候変動に直面しながら、逞しく賢く暮らすアフリカなど「開発途上国」や、各国で暮らすディアスポラ(移民)のコミュニティ。サステナブルな未来のためには「先進国」が「開発途上国」から学ぶところは多いことを投げかける。昔ながらの建設手法や先人の知恵、儀式のようなものも含めて提示し、これまでの建築展とはかなり異なる内容になっている。
映像やサウンドスケープによる展示が多かったことも、今回のビエンナーレの特徴だ。抽象的なアート展のようなものから、パビリオンを改築するような具体的なアクション、パフォーマンスやイベントまで、千差万別な展示や提案が満載である。
模型などが並び「建造物を建てる」ことにフォーカスした旧来の建築展とはかなり異なる内容に、当然批判や反発の声はある。が、気候変動危機に直面するなか「新しく建て続ける」ことがサステナブルなわけはなく、その背後にある成長を前提とした経済の仕組み、それに伴う社会構造自体を見直す必要がある。今回のビエンナーレはこれらの問題に立ち向かい、新しい時代を「建て直す」ための研究や教育、コミュニティの再生やサポートなど、包括的な「建築の仕事」が世界各地から提示されている。若い世代からは「希望を感じた」と言う声が多く聞かれた。
毎回、活躍を見せる日本勢だが、アフリカ、アジアなど「グローバルサウス」からの展示が急増したなか、今回は日本館以外での展示が見られず、日本館の展示も全体の中では国際性を欠いた印象だった。ビエンナーレのほかにもさまざまな関連企画があるが、ジャルディーニ横の〈マリナレッサ庭園〉で開催中の『Time Space Existence』では、藤貴彰(三菱地所設計・tyfa)によるコーヒーかすなど廃棄物のサーキュラー素材で作られた茶室〈ベネチ庵〉が展示されている。
模型などが並び「建造物を建てる」ことにフォーカスした旧来の建築展とはかなり異なる内容に、当然批判や反発の声はある。が、気候変動危機に直面するなか「新しく建て続ける」ことがサステナブルなわけはなく、その背後にある成長を前提とした経済の仕組み、それに伴う社会構造自体を見直す必要がある。今回のビエンナーレはこれらの問題に立ち向かい、新しい時代を「建て直す」ための研究や教育、コミュニティの再生やサポートなど、包括的な「建築の仕事」が世界各地から提示されている。若い世代からは「希望を感じた」と言う声が多く聞かれた。
毎回、活躍を見せる日本勢だが、アフリカ、アジアなど「グローバルサウス」からの展示が急増したなか、今回は日本館以外での展示が見られず、日本館の展示も全体の中では国際性を欠いた印象だった。ビエンナーレのほかにもさまざまな関連企画があるが、ジャルディーニ横の〈マリナレッサ庭園〉で開催中の『Time Space Existence』では、藤貴彰(三菱地所設計・tyfa)によるコーヒーかすなど廃棄物のサーキュラー素材で作られた茶室〈ベネチ庵〉が展示されている。
では、『ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展』受賞作などいくつかの展示を紹介していきたい。
Loading...
Loading...