【大分・由布市/別府市】隈研吾による棚田を臨む温泉宿と太宰治の〈碧雲荘〉へ|甲斐みのりの建築半日散歩
| Architecture, Culture, Food, Travel | casabrutus.com | photo_Ryumon Kagioka text_Minori Kai
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〈界 由布院〉の大浴場の内風呂の壁と床には、臼杵大仏など大分の石文化にインスピレーションを得て、黒い小石を使用している。

棚田を眺めて過ごせるテラス。

大分県はマダケの生産量日本一で、それらを使用した竹細工の伝統工芸もよく知られている。外壁に丸竹が連なるエントラスをはじめ、館内いたるところに竹材が使用されている。

国東半島のみで栽培されている、琉球畳にも使われる素材・七島藺(しちとうい)を、エントランスのロゴ看板に使用。

農家の「たたき」をイメージしたフロントロビー。床は砂利、土、石灰などを混ぜて固めている。突き当たりには坪庭も。竹を使った照明も隈研吾氏のデザイン。

フロントカウンターは農家の台所「かまど」を模した形状で、羽釜のオブジェも。背後の壁は砂漆喰。

フロントロビーに隣接し、竹のフローリングを用いたトラベルライブラリー。和紙を使った照明は、野山を舞う蝶をイメージして隈研吾氏がデザイン。本を読んだり、お茶を飲んで過ごせる。

夕食「本日の特別会席」メインの台の物。スッポンの出汁に、牛肉、猪肉、鹿肉、穴熊肉をくぐらせて味わう「山のももんじ鍋」。それぞれの肉に合わせた4種類のタレも個性豊か。

夕食「本日の特別会席」の先付けは、「猪と椎茸の最中パテ」と、大分県名産のかぼすのドレッシングで味わう「クレソンサラダ」。器は大分を代表する陶器・小鹿田焼。

朝食は和洋選べる。こちらは山の恵みを感じる焼野菜を中心とした和食膳。大分の郷土料理「だんご汁」も味わえる。豆、ごま、海藻、野菜、魚、きのこ、芋など、健康的な食材がふんだん。

由布岳を望む露天風呂の前には、棚田を模した植栽を。春には景色に桜が色付く。

星野リゾート・界の各施設で行われるおもてなし「ご当地楽」の一つ「温泉いろは」。温泉の知識を持つ湯守りが紙芝居を用いて泉質や成り立ちなど由布院の温泉について話してくれる。

ご当地楽の一つ、藁をより合わせて小さなお守りを作る「原風景を感じるわら綯(な)い体験」。

わら綯い体験の完成品。

2タイプある離れの一つ「蛍かごの間(棚田離れ)」。いわゆる和風建築とは異なる軽やかな印象で、棚田の景色に溶け込む。ランドスケープデザインは鈴木千穂氏が率いるSEA BASSが手がけた。

「蛍かごの間(棚田離れ)」から縁側を望む。室内で過ごしても、縁側に腰かけ風に当たっても。ソファにはマダケを使用。

「蛍かごの間(棚田離れ)」の露天風呂。和傘をイメージした照明も隈研吾氏のデザイン。

全ての客室に設えた七島藺製の「蛍かご照明」。由布院の水辺に生息する蛍をイメージして、淡い光が点滅する。岩切千佳さんの制作。
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