ARCHITECTURE
石田潤の In the mode|ボッテガ・ヴェネタの故郷、そして建築巡礼地への旅。
| Architecture, Fashion, Travel | casabrutus.com | photo_Maxime Galati-Fourcade text_Jun Ishida coordination_Kaoru Tashiro editor_Keiko Kusano
トーマス・マイヤーがデザインしたボッテガ・ヴェネタのアトリエを訪れませんか?という誘いを受けて、9月末、イタリア北部にある都市ヴィチェンツァへと向かった。ヴィチェンツァはミラノから車で約2時間半、ヴェネチアにも近いヴェネト州の古都だ。この街はボッテガ・ヴェネタが誕生した地であるとともに建築に興味を抱くものならば一度は訪れてみたい“建築巡礼地”でもある。
人口約11万人の都市、ヴィチェンツァ。この街の起源は、紀元前に作られたローマの都市にまでさかのぼる。現在のヴィチェンツァの街の形ができたのは12世紀、そしてヴェネチア共和国の支配下に置かれた15世紀から18世紀にかけてこの街は大きな発展を遂げる。ヴェネチアから富と人が流れ込み、裕福なヴェネチアの貴族たちがヴィチェンツァにセカンドハウスと別荘を兼ねたヴィラ(邸宅)を建て始めたのだ。そこで台頭した建築家こそアンドレア・パッラーディオ(1508〜1580年)である。パドヴァに生まれヴィチェンツァに育ったこの建築家は、ヴィチェンツァに数多くのヴィラと公共建築をデザインする。現在、パッラーディオとその弟子たちがデザインした23のヴィラは〈ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオのヴィラ〉として世界遺産にも認定されている。
古代ローマの荘厳な建築物に魅了されたパッラーディオは、ルネサンスも後半に入ったこの時代、古代ローマ様式を取り入れた宮殿や教会、邸宅をヴィチェンツァに作った。街を歩いていると教会や宮殿など街のランドマークといえる建物のほとんどがパッラーディオによるものであることに気づく。パッラーディオ建築の前には案内板が設置され、携帯電話でバーコードをスキャンすると各国語の解説ページが画面上に開くというサービスもあるほどだ。
建築への造詣が深いことで知られるトーマスも、ヴィチェンツァにおいて見るべきものとしてパッラーディオ建築をあげている。「パッラーディオの作品は常に私の人生の一部であり、インスピレーションの源です。彼は建築家であっただけでなくアーティストでもあり、すべてにおいてバランスや調和を求めていました」と述べ、この夏にはパッラーディオ様式の庭園からインスパイアされたフレグランス《パルコ パッラーディアーノ》も発表している。
建築への造詣が深いことで知られるトーマスも、ヴィチェンツァにおいて見るべきものとしてパッラーディオ建築をあげている。「パッラーディオの作品は常に私の人生の一部であり、インスピレーションの源です。彼は建築家であっただけでなくアーティストでもあり、すべてにおいてバランスや調和を求めていました」と述べ、この夏にはパッラーディオ様式の庭園からインスパイアされたフレグランス《パルコ パッラーディアーノ》も発表している。
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石田潤
いしだ じゅん 『流行通信』、『ヴォーグ・ジャパン』を経てフリーランスに。ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『sacai A to Z』(rizzoli社)、レム・コールハースの娘でアーティストのチャーリー・コールハースによる写真集『メタボリズム・トリップ』(平凡社)など。
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