創業1734年、丹波篠山の黒豆卸〈小田垣商店〉が〈新素研〉によりリニューアル。
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この度改修の第一弾を終えてリニューアルオープンした〈小田垣商店〉。手がけたのは杉本博司と榊田倫之が率いる〈新素材研究所〉。

外壁はわずかに青緑色がかった白壁で、京都伏見でとれる「浅葱土」を混ぜている。真っ白い壁は格が高いので、商人の家は遠慮して浅葱土を混ぜるという習わしを踏襲した。

庭と建物、駐車場を含めた敷地は約1,000坪、通りに面した長い塀は35m強も続く。


玄関(写真奥)から細長く続く、いわゆる「通り庭」の床には、四国産の古い町家石を敷き詰めた。微妙に異なる石種が床の表情となる。町家建築ならではの高い天井の小屋組みや梁は江戸後期のまま。

玄関入ってすぐの土間の壁は、MOA美術館の改修にも取り入れた黒豆を想起させる黒漆喰で塗った。軒先にかかる「茶」の丸看板は、杉本が青山の骨董屋で偶然見つけたもの。

貴重な屋久杉の一枚板に杉本の筆で「黒まめ」と記した看板が客を出迎える。

杉本が再構成した庭。ジグザグに走る延段に使われた加茂真黒石は現在ではもう採取できず、古建築が解体される際にモルタルと共に出てくるものを1枚ずつ剥がして再利用した。橋がかりに見立てた渡廊下は、以前あった壁を撤去し底を一体化させ、元の瓦屋根を銅板葺きに改めた。

既存の渡廊下に板を継ぎ足して幅を出し、能舞台の「橋がかり」に見立てた。
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