ARCHITECTURE
〈アートビオトープ〉に坂 茂設計のヴィラが完成!
『カーサ ブルータス』2020年12月号より
December 21, 2020 | Architecture, Travel | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Ai Sakamoto
人と自然、そしてアートの共生を目指すリゾートが13年の歳月を経て、今秋グランドオープンしました。
栃木県と福島県の県境に位置する那須連山の麓。豊かな自然に抱かれるようにして、〈アートビオトープ〉はある。日本有数のリゾート〈二期倶楽部〉(現在は閉業)の文化事業として、2007年にスタート。陶芸やガラスのスタジオを備えたレジデンス、カフェに加えて、18年には石上純也が設計した〈水庭〉が、そして今年ヴィラとレストランが完成し、この10月いよいよグランドオープンを迎えた。
完全独立型の〈スイートヴィラ〉を手がけたのは坂 茂。坂に設計を依頼した理由について、ブランドプロデューサーの北山ひとみは、「長年、社会貢献事業を続けてこられた坂さんの姿勢に共感し、私たちの目指す “多様性が育む、共生可能な未来的リゾート” の可能性を表現してほしいと思ったんです」と話す。
約1万5000平米の敷地に建つのは14棟15室のオールスイートタイプのヴィラと、レセプションを併設したレストラン棟。もともとは雑木林だったエリアで、隣接する〈水庭〉にある318本の樹木は、ここから移植されている。
完全独立型の〈スイートヴィラ〉を手がけたのは坂 茂。坂に設計を依頼した理由について、ブランドプロデューサーの北山ひとみは、「長年、社会貢献事業を続けてこられた坂さんの姿勢に共感し、私たちの目指す “多様性が育む、共生可能な未来的リゾート” の可能性を表現してほしいと思ったんです」と話す。
約1万5000平米の敷地に建つのは14棟15室のオールスイートタイプのヴィラと、レセプションを併設したレストラン棟。もともとは雑木林だったエリアで、隣接する〈水庭〉にある318本の樹木は、ここから移植されている。
設計段階で、すでに更地に近い状態になっていたこの地で、坂が設計の中心に据えたのは、敷地の両側を流れる2本の小川の存在だった。「可能な限り今ある土地を活かす形で、その特色を建築に取り込みたい」と、各棟を川に面する形で配置。室内にいながらにして窓を開け放てば、川を眺めながらせせらぎを聞くことができる。
中央が高く、小川に向かって緩やかに傾斜する土地に、木造平屋のヴィラが点在。各棟の内部は傾斜を利用したスキップフロアになっており、その先には奥行き3mのテラスが設けられている。
「約5.4mの大開口には全面開放が可能な大型の木製サッシを採用。室内外の景色をつなぐため、柱はもちろん、見える部分では太い梁も使わないよう、構造を工夫しています。景観との一体感とともに、風や光、音を楽しむ。そんな場所ができたと思っています」
中央が高く、小川に向かって緩やかに傾斜する土地に、木造平屋のヴィラが点在。各棟の内部は傾斜を利用したスキップフロアになっており、その先には奥行き3mのテラスが設けられている。
「約5.4mの大開口には全面開放が可能な大型の木製サッシを採用。室内外の景色をつなぐため、柱はもちろん、見える部分では太い梁も使わないよう、構造を工夫しています。景観との一体感とともに、風や光、音を楽しむ。そんな場所ができたと思っています」
ばんしげる 建築家。1957年東京都生まれ。建築設計の傍ら、災害支援にも積極的に取り組む。主な作品に〈ポンピドゥーセンター・メス〉〈大分県立美術館〉など。プリツカー建築賞など受賞多数。
〈アートビオトープ スイートヴィラ〉
客室は大きく分けて2タイプ。川に面したタイプの中には、バリアフリー対応やペット可の部屋もある。栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-5 TEL 0287 74 3200。全15室。1室2名利用時、1泊2食付き1名58,080円〜(税サ込)。