ARCHITECTURE
石上純也の“自由な建築”が上海に上陸!
July 26, 2019 | Architecture | casabrutus.com | text_Naoko Aono
昨年、パリで開かれ、大きな話題となった石上純也の個展『Freeing Architecture』が上海に巡回してきました。新たな作品も加えてスケールアップした展覧会の様子をレポートします!
2018年、パリの〈カルティエ現代美術財団〉で開かれた石上純也個展『Freeing Architecture』(自由な建築)が〈上海当代芸術博物館〉で開催されている。パリではあまりの入場者数の多さに会期を延長するほどだった。上海での個展はその巡回だが、今ロンドンで展示されている〈サーペインタイン・ギャラリー・パヴィリオン〉など新作が追加され、会場構成もパリとは大きく異なるものになっている。
「ジャン・ヌーヴェルが設計したパリの〈カルティエ現代美術財団〉は庭の中に置かれたガラスの箱のような建物です。それにあわせて展覧会も庭の中を散策するような構成にしました。上海の会場はホワイトキューブなので、一部屋にひとつのプロジェクトを展示して、それぞれ異なる世界観や雰囲気を感じられるようにしています。部屋から部屋に移動するごとに、違う世界にジャンプする感じになると思います」
タイトルの「Freeing Architecture」「自由な建築」には次のような思いが込められている。
「50〜100年前の近代建築はマスプロダクション(大量生産)を前提としたひとつのプロトタイプ、ひとつの未来像を示そうとしていました。でも、さまざまな形で世界のあらゆる人とつながることができる現代では、異なる価値観や歴史、文化に対してできるだけ多くの解答を示すような、多様性のある建築を考えなくてはならない。そのためには既存の建築の考え方を一度はずして、自由なアプローチから考えるべきだと思うんです」
「50〜100年前の近代建築はマスプロダクション(大量生産)を前提としたひとつのプロトタイプ、ひとつの未来像を示そうとしていました。でも、さまざまな形で世界のあらゆる人とつながることができる現代では、異なる価値観や歴史、文化に対してできるだけ多くの解答を示すような、多様性のある建築を考えなくてはならない。そのためには既存の建築の考え方を一度はずして、自由なアプローチから考えるべきだと思うんです」
会場に並ぶプロジェクトはそれぞれが “自由なアプローチ(方法論)” を体現する。たとえば19世紀のヴィラを増築するプロジェクト〈Vijversburgビジターセンター〉では、その周りにある散策路をそのまま建物の形にした。
「ここは歴史的地区で、既存の樹木を切ったりすることができない。そこで、元の散策路の形をトレースするような建物にしました。建物をできるだけ透明にするために壁はガラスにしています。ガラスの向こうの景色が透過して見えたり、反射して見えて、建物の中にいても外にいるような気持ちになれます。建築のプロジェクトでは同じ敷地ということはあり得ません。ということはいつも違う解答を探さなくてはならないのです」
「ここは歴史的地区で、既存の樹木を切ったりすることができない。そこで、元の散策路の形をトレースするような建物にしました。建物をできるだけ透明にするために壁はガラスにしています。ガラスの向こうの景色が透過して見えたり、反射して見えて、建物の中にいても外にいるような気持ちになれます。建築のプロジェクトでは同じ敷地ということはあり得ません。ということはいつも違う解答を探さなくてはならないのです」
中国の山東省で工事が始まったカルチャーセンターは、人工湖の上が敷地という、これまた大胆なものだ。湖の直径はおよそ1キロ。建物もこれを横断しているので、長さが1キロほどになる。
「橋の上に浜辺をつくるかのようにして、建物を作ります。その “浜辺” を散策しながら展示物を眺められる。環境に合わせて、建築のスケールを超えた自然のスケールで建物を作りました」
「橋の上に浜辺をつくるかのようにして、建物を作ります。その “浜辺” を散策しながら展示物を眺められる。環境に合わせて、建築のスケールを超えた自然のスケールで建物を作りました」
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