ART
柳宗悦から「直観」を見いだす力を学ぶ。
January 28, 2019 | Art, Design | casabrutus.com | text_Kaori Nakada
民藝運動を牽引した柳宗悦が作品を選ぶ際に大切にしていた“直観”に焦点を当てた展覧会が、〈日本民藝館〉にて開催中。ジャンルに囚われない新たな展示スタイルに注目です。
民衆の暮らしから生まれた美の世界。その価値を人々に紹介しようと「民藝」という言葉が誕生したのは1925年。言葉の発案者であり、思想家としても知られる柳宗悦は、無類の収集家としても知られる。そんな彼が初代館長を務めた〈日本民藝館〉には、自ら集めた17,000点にも及ぶ作品が所蔵されている。各地を訪ね、膨大な量の民藝に触れた彼が、その審美眼によって収集した作品の数々は、どれも魅力的なものばかりだ。
この収集において柳は知識だけでなく、みずからの“直観”も重要視していた。柳は「直観とは文字が示唆する通り『直ちに観る』意味である。美しさへの理解にとっては、どうしてもこの直観が必要なのである。知識だけでは美しさの中核に触れることが出来ない」と、したがって「何の色眼鏡をも通さずして、ものそのものを直に見届ける事である」と記している(『直観について』1960年)。イメージとしてものを把握しようとする“直感”ではなく、視覚を通してものと直接対峙する“直観”へ。「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦が大切にした“直観”に焦点を当てた展覧会が〈日本民藝館〉にて開催中だ。
この収集において柳は知識だけでなく、みずからの“直観”も重要視していた。柳は「直観とは文字が示唆する通り『直ちに観る』意味である。美しさへの理解にとっては、どうしてもこの直観が必要なのである。知識だけでは美しさの中核に触れることが出来ない」と、したがって「何の色眼鏡をも通さずして、ものそのものを直に見届ける事である」と記している(『直観について』1960年)。イメージとしてものを把握しようとする“直感”ではなく、視覚を通してものと直接対峙する“直観”へ。「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦が大切にした“直観”に焦点を当てた展覧会が〈日本民藝館〉にて開催中だ。
会場構成は、あえてモノが生まれた時代や産地などの説明、解説を提示しない、柳の“直観”を重視したレイアウトに。自ら集めた作品の中から絵、彫刻、陶磁器、木彫品、染織品、アフリカのお面、イギリスや中国の焼き物など、分野を問わず〈日本民藝館〉の名品、約280点が一堂に会する。
生活に根ざした美と作者の個性によって生まれた、生命力溢れる作品。柳宗悦の“直感”で厳選された民藝の名品に会いに行きたい。
「柳宗悦の『直観』 美を見いだす力」
〈日本民藝館〉東京都目黒区駒場4-3-33 TEL 03 3467 4527。~3月24日。10時〜17時、金曜~19時(入館は閉館30分前まで)。月曜休館(祝日の場合は開館し、翌日休館)。入館料1,100円。