彫刻家イサム・ノグチと画家・長谷川三郎の芸術的交流を紐解く。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

彫刻家イサム・ノグチと画家・長谷川三郎の芸術的交流を紐解く。

1950年代を生きた2人のアーティスト、イサム・ノグチと長谷川三郎。今日のノグチ芸術のイメージ形成にもつながっていく二人の交流に注目した作品展が〈横浜美術館〉で開催中だ。

イサム・ノグチが、北大路魯山人の提供した北鎌倉の古い農家をアトリエとしていた頃の作品「顔皿」(1952年)。片方の目は盛り上がり、もう片方は内側に窪んでいる。ノグチのセルフポートレイトともいわれている。イサム・ノグチ《顔皿》 1952年、陶、30.8×27.3×2.9cm、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵 ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble
ロサンゼルス生まれにして東洋的な美を追求した彫刻家イサム・ノグチと、制作と理論の両面で日本の抽象美術をリードした美術家・長谷川三郎。この二人が共に歩んだ1950年代の作品を中心とした展覧会「イサム・ノグチと長谷川三郎ー変わるものと変わらざるもの」が、〈横浜美術館〉で開催中だ。
岐阜で日本式の鋳鉄(ちゅうてつ)技術を知ったノグチが、この鋳鉄の手法で筆の動きを形取った作品「書」(1957年)。イサム・ノグチ《書》 1957年、鋳鉄、木、縄、金属、178.8×43.5×40.6cm、 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble
玄武岩を使い、抽象的な彫刻作品としたノグチの「捜すもの、捜し出したり」(1969年)。イサム・ノグチ《捜す者、捜し出したり》 1969年、玄武岩、94.0×100.3×49.8cm、 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵 ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS–JASPAR Photo: Kevin Noble
岐阜で日本式の鋳鉄(ちゅうてつ)技術を知ったノグチが、この鋳鉄の手法で筆の動きを形取った作品「書」(1957年)。イサム・ノグチ《書》 1957年、鋳鉄、木、縄、金属、178.8×43.5×40.6cm、 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵 ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble
玄武岩を使い、抽象的な彫刻作品としたノグチの「捜すもの、捜し出したり」(1969年)。イサム・ノグチ《捜す者、捜し出したり》 1969年、玄武岩、94.0×100.3×49.8cm、 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵 ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS–JASPAR Photo: Kevin Noble
1950年当時、来日して画家・猪熊弦一郎や建築家・丹下健三といった日本を代表する美術家や建築家とも出会ったノグチが、とくに交流を深めたのは、画家として活動をはじめた長谷川三郎だった。長谷川はノグチにとって日本の文化遺産の案内役となり、今日のノグチの作品のイメージ形成を助けた。一方でノグチは長谷川に、絵画だけではなく墨や拓本、木版を用いてより抽象美術の表現を深めていくきっかけを与えた。1954年に渡米した長谷川はカリフォルニア美術工芸大学などで教鞭をとり、ビート・ジェネレーションと呼ばれる作家たちや若い芸術家にも大きな影響を与えることとなった。
日本の抽象美術のパイオニアともいわれる長谷川によるリトグラフ「無題」(1954年)。長谷川三郎《無題》
1954年、紙、リトグラフ、33.5×51.2cm、 ティア&マーク・ワッツ・コレクション Photo: Kevin Noble
切り株や木片の地肌を直接紙に写し取る拓刷りの技法を用いた長谷川の作品「自然」(1953年)。 長谷川三郎《自然》 1953年、紙本墨、拓刷、二曲屏風一隻、各135.0×66.5cm、 京都国立近代美術館蔵 (展示期間:1月12日~2月13日)
墨を用いながらも抽象的でモダンな印象のある長谷川の作品「無題」(1954年)。長谷川三郎《無題》 1954年、紙本墨、138.8×70.0cm、 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵
日本の抽象美術のパイオニアともいわれる長谷川によるリトグラフ「無題」(1954年)。長谷川三郎《無題》 1954年、紙、リトグラフ、33.5×51.2cm、 ティア&マーク・ワッツ・コレクション Photo: Kevin Noble
切り株や木片の地肌を直接紙に写し取る拓刷りの技法を用いた長谷川の作品「自然」(1953年)。 長谷川三郎《自然》 1953年、紙本墨、拓刷、二曲屏風一隻、各135.0×66.5cm、 京都国立近代美術館蔵 (展示期間:1月12日~2月13日)
墨を用いながらも抽象的でモダンな印象のある長谷川の作品「無題」(1954年)。長谷川三郎《無題》 1954年、紙本墨、138.8×70.0cm、 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵
展示されるのは、アメリカで公開された後、長らく門外不出だった石の彫刻「庭の要素」(1958年)を含むノグチの彫刻・絵画作品約50点と、日本の国公立美術館が所蔵する長谷川の墨、木版、拓刷による代表作と未公開作品を含む約70点。これらの作品を通して、1950年代の東洋と西洋の美術の交流を紐解いていく。これに合わせ、長谷川が当時用いた拓本技法による作品制作のワークショップも開催される。

彫刻家イサム・ノグチと美術家・長谷川三郎の交流が、いかにエキサイティングなものだったのか、当時の彼らの実験的な作品を通して味わってみたい。

「イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの」

〈横浜美術館〉神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1 TEL045 221 0300。~3月24日。10時~18時(入館は17時30分まで。3月2日〜20時30分)。木曜、3月22日休館(3月21日は祝日のため開館)入館料1,500円。