『東スポ』のようなもの⁉︎ 五木田智央『PEEKABOO』開催中。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『東スポ』のようなもの⁉︎ 五木田智央『PEEKABOO』開催中。

国内の美術館では4年ぶりとなる個展を開催中の五木田智央。驚くようなエピソードが潜んだ制作の裏側とツウな見どころを聞きました。

軽妙でポップだったり、金属のようにクールだったり。ノスタルジックな雰囲気をまとっているかと思えば、どこか不気味さも帯びている。モノクロームを基調として多様なイメージを表現し鑑賞者の想像力と感情を刺激する五木田智央。新作18点を含む、近年の代表作が勢揃いした大規模個展のポイントを本人に聞きました。
会場入口で不敵な笑みをこちらに向ける《Come Play with Me》2018年。
Q 会場に入るとすぐにメインビジュアルの《Come Play with Me》が大迫力で待ち構えています。このイメージはどこから?

A 実は当初、まったく違う絵を描いていたんです。そんなに悪くない出来だったし、時間もないから「まぁいいかな」と思っていたけど、見直してみたら「なんか違うなぁ」と思い始めてしまって。締め切り直前だったのですが、納得がいかなかったので、上から真っ白に塗りつぶして、ふりだしに戻しました。「やばいなぁ、どうしようかなぁ」と思って、古い雑誌をパラパラめくってたら「これだ!」とピンとくる写真があって。朝8時くらいに描き始めてすぐに「これはイケる」とわかりました。写真の要素は残ってるけど、あとは勝手に想像で描くので顔や細部などは全く違いますが。それで、昼前には9割方ができていましたね。

筆がのると速いんです。本当にギリギリのタイミングだったので、完成してすぐにギャラリーに連絡して、搬出して、撮影。なんとか間に合いました。でも、正直言うと、チラシもポスターも、若干色味が違うんです。僕の作品は印刷物にすると黒の出方が難しいんですよね。だから、実物を観にきてほしいです。
(左から)《Please Be Kind》2017年、テイ・トウワのアルバムでもお馴染みの《Cute》2015年。
Q 展覧会のタイトルに「PEEKABOO」とつけた意図について教えてください。

A 特に意味はないんです。一枚も絵を描いていない状態で先にタイトルを決めないといけなかったので、どんな作品を持ってきてもしっくりくる言葉にしました。逆に、意味のある言葉をつけて絵のイメージが引っ張られるのが嫌だったんです。ふだん、作品のタイトル付けは後から。絵をじーっと見て言葉が思い浮かぶこともあるし、好きな音楽からぴったりの曲名を拝借することもあります。
会場風景。半透明のスクリーンを設置し、ぐるぐると回遊する鑑賞スタイルが面白い。
Q 展示室の壁の一部をグレーに塗装したり、作品の前に半透明のスクリーンを置いたりと空間に変化をつけていますが、これは五木田さんのアイデアですか?

A 今回、会場構成を武松幸治さんに依頼したんです。鑑賞者の心理を想像して、スクリーンを立てることで、空間をぐるぐると回遊できるようにしているそう。グレーの壁面に作品を展示するのも新鮮でいいですね。
グレーの壁面がモノクロの絵画を引き立てる。(左から)《How to Marry a Millionaire》2015年、《Policeman》2017年、《Old Portrait》2016年。