昔々、プラハに芸術好きな王様がいました。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

昔々、プラハに芸術好きな王様がいました。

「ルドルフ2世」と聞いてどれほどの人がピンとくるだろう? プラハに城を構えた皇帝で凄いコレクターだったらしい。『神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界』展からその詳細に迫る。

会場には、ルドルフ2世の肖像画が2枚並ぶ。(左から)ハンス・フォン・アーヘン作のコピー《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》1600年頃、油彩・キャンヴァス、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden、ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》1591年、油彩・板、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden photo_Yoshio Suzuki
一般的には政治をおさめ、ときに戦争をしたりする(?)のが王様の仕事なのかもしれないが、長い歴史のうちには風変わりな王様もいるわけで、ハプスブルク家のルドルフ2世(1552〜1612年)はそんな人だった。

ルドルフ2世は神聖ローマ帝国皇帝でボヘミア王、ハンガリー王、クロアチア王、モラヴィア辺境伯、オーストリア大公。彼が首都と定めたプラハは繁栄した。政治よりも、芸術、文化、科学が大好きで膨大なコレクションを築き、驚異の部屋を作った。占星術師が占星術を研究し、それが天文学を発達させ、錬金術師を集めて研究させ、それが化学を大きく発展させたと言われる。
ハンス・フォン・アーヘン作のコピー《ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像》1600年頃、油彩・キャンヴァス、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden
ジュゼッペ・アルチンボルド 《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》1591年、油彩・板、スコークロステル城、スウェーデン Skokloster Castle, Sweden
果物、野菜、動植物、本や道具などを集めて肖像画を描き、代々の皇帝のお気に入りだった画家・アルチンボルドがまさにルドルフ2世をモデルにして《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》を描いている。皇帝の顔を野菜や花の寄せ絵にして、こんな面白く描いていいの? という心配はいらない。なぜなら「ウェルトゥムヌス」というのはローマ神話に登場する果樹と果物の神のこと。王様を神様にまで高めているというわけだ。
ヴルタヴァ川に架かるカレル橋の橋頭展望台から見たプラハ城。 photo_Yoshio Suzuki
神聖ローマ帝国皇帝としては独自の活動をし、結局、最後は弟にその地位を追われた。そのルドルフ2世が愛し、夢半ばで去った街、プラハを訪れる機会があった。この街で見たものや考えたことをつづりながら、展覧会『ルドルフ2世の驚異の世界展』の展示作品を交えながらレポートしていこう。

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