ドキッとしてクスッと笑える、シュリグリーのダークな世界。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ドキッとしてクスッと笑える、シュリグリーのダークな世界。

『カーサ ブルータス』2017年12月号より

世界をちょっとでもよくしたい。デイヴィッド・シュリグリーのダークなアートに隠された意外な理由とは?

よく見ると間違ってます。
《展覧会》(2015〜)、《死の門》(2015)

最初にちゃんと「展覧会」と書かれているけど、漢字が間違っている。その下には「DEATH」と書かれた門、その先にはシュリグリーのTシャツが吊るされている。
ダークなユーモアが入った作品で人気のデイヴィッド・シュリグリー。自らドアを開けてくれる親切で礼儀正しい青年だ。
デイヴィッド・シュリグリー 1968年イギリス生まれ。2013年ターナー賞候補、トラファルガー広場「第4の台座」など現代美術の権威ある賞やコンペで表彰される一方、ドローイングを使ったTシャツなどのグッズも人気。
Q 最初にちゃんと日本語で「展覧会」って書いてあるんですね。
反対側には英語も書いてあるけど、よく見ると漢字やスペルが間違ってる。これが展覧会全体のコンセプトを表しているんだ。

Q その心は?
世界は完全ではないし、誰も他人を完璧に理解することはできない。10年前の自分の作品が、作ったときとは違って見えることもある。すべては変化していて、他とは違っていて、正しく理解されないものなんだ。だから僕の作品ではわざとイメージと文章にちょっとしたズレを仕込んでいる。
巨大「いいね!」彫刻。
《リアリー・グッド》(2017)

ロンドンのトラファルガー広場に設置したブロンズ彫刻の原寸大バルーン版が新作。「みんなが“これいいね!”って言えば気分も変わるし、世界も変わるよ。たぶん」
誤解も作品のうち。
《無題ドローイング》(2004〜)

イメージと文章を組み合わせた作品。和訳もある。「翻訳では意味の解釈が違うかもしれないけど、それも面白いところだ。言葉や意味はウナギみたいなものだからね」
Q 「いいね!」マークの作品の意図は?
4年前、ロンドンのトラファルガー広場に置く彫刻を募集していたので応募した。今となってはなぜあの形にしたのか自分でもよくわからないんだけど(笑)、確かこのひどい世界をよくしたい、というばかげた提案だったと思う。自分のアートが世界をマシなものにできる、と信じてなければ作品を作る意味がないと思ってる。

Q 子供の頃のヒーローは?
マルセル・デュシャンとアンディ・ウォーホル。彼らは日常の大して美的でもないものを特別で重要なものに仕立てて、アートのボキャブラリーを変えた。僕は最初、漫画家になろうと思って展覧会を開いたら漫画界にはウケなかったんだけど、アート界ではウケた。だから本当は僕は、漫画家になり損ねたアーティストなんだ。
失われた彫刻を求めて。
《おばけ》(2014)

秘密の彫刻を約300人にスケッチしてもらい、彫刻は壊してしまったというアート。子供・大人、アマ・プロいろんな人が描いた絵から、今はない彫刻を想像してみよう。
休まず描き続けています!
《アーティスト》(2014)

「作家の制作風景を見るのは楽しいけど、僕は帰らなくてはいけないのでロボットに頼んだ。時々不具合を起こすところも僕に似てる。でも僕より勤勉に描いてる」

デイヴィッド・シュリグリー「ルーズ・ユア・マインド—ようこそダークなせかいへ」

〜2018年1月21日。

〈水戸芸術館 現代美術ギャラリー〉

茨城県水戸市五軒町1-6-8
TEL 029 227 8111。9時30分〜18時。月曜休。入場料800円。

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