ART
レアンドロ・エルリッヒ:見ることのリアル
『カーサ ブルータス』2017年12月号より
November 15, 2017 | Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono
床に寝そべっているのに建物の壁をよじ登っているように見える。試着室なのに自分の姿は見えなくて、無限に続くかのような試着室の迷路をさまよう。レアンドロ・エルリッヒは鏡や水、ガラスなどを使ってトリッキーなアートを作り出す。このたび、過去最大級の個展が東京で開かれる。
出品点数は約40点、8割が日本初公開だ。この展覧会のために制作された新作《教室》は廃校になった学校の教室が舞台。誰もいない教室に自分の影が幽霊のようにぼんやりと映り込む。懐かしいような、寂しいような気持ちになる。水面に浮かぶボートは水の揺らぎでゆらゆらと漂うように見える。でも実は水などなくて、水面に映るボートの影に見えるのは、ボートと同じ素材でできた立体物だ。
彼の作品を見ていると、人間は実に簡単にだまされてしまうのだと感じる。でもその後で必ず、笑いがやってくる。トリックに引っかかったほうが楽しいアートなのだ。
彼の作品を見ていると、人間は実に簡単にだまされてしまうのだと感じる。でもその後で必ず、笑いがやってくる。トリックに引っかかったほうが楽しいアートなのだ。