アラーキーが新作1,000点で魅せる『荒木経惟 写狂老人A』。

77歳を迎えてなお、多彩に、精力的に活動を続ける写真家がいる。荒木経惟だ。今夏はその勢いに拍車がかかり、美術館やギャラリーで個展がひっきりなしに続く。

荒木経惟。写真への探究心、制作意欲はとどまることを知らない。
数ある展覧会の中でも核となるのが〈東京オペラシティ アートギャラリー〉で開催中の『荒木経惟 写狂老人A』。1,000点以上に及ぶ新作で構成する本展は、壮大なスケールで荒木の現在進行形を提示する。本人の解説と合わせて各セクションの見どころを紹介する。

《大光画》

70代半ばを過ぎてからも旺盛に制作を続けた葛飾北斎が「画狂老人卍」と号したことになぞらえ、荒木は自身のことを「写狂老人A」と名乗っている。
第一展示室で待ち受けているのは、縦1,400×横1,000mmの大画面に収められた女性のヌード50点だ。会場の両サイドを絵巻物のように覆い、その圧倒的な迫力で鑑賞者を取り囲む。ここに写っているのは荒木が『週刊大衆』で連載している「人妻エロス」へ応募してきた人妻たち。荒木の真正面に立ち、ファインダーをじっと見つめる女性のありのままの姿が写し出されている。
1998年から続く人気連載シリーズ『人妻エロス』。補正・調整し、画一化された美しさを作り上げようとする現代のグラビア写真に対し、荒木はさまざまな年齢の肉体をむき出しにする女性を銀塩写真に収め続けている。
「今の僕が考える“女の裸”とはまさにこの《大光画》だよ。女のたくましさ、凄さ、繊細さ、全部が詰まっている。みんな肉体をさらけ出して、『裸を見せちゃうのなんて平気』って顔をしているけど、その一方で『腹をへこませなきゃ』っていう女心ものぞかせていて、その微妙な気持ちも僕の写真には出ちゃうんだよね」
「旦那にバレたら大変だって言いながら登場する人もいるよ。そういう図太さがあるのも女なんだよね」。