建築家・中山英之が作る「自然光の中のモネ」を、箱根の〈ポーラ美術館〉で堪能する。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

建築家・中山英之が作る「自然光の中のモネ」を、箱根の〈ポーラ美術館〉で堪能する。

自然光の中で夕陽や睡蓮、大聖堂を描いたモネ。建築家・中山英之が会場構成を手がけた、モネの絵画を堪能する展示空間が箱根の〈ポーラ美術館〉で長期公開中です。モネが絵筆をとりながら捉えた空気感を体感できる展示です。

「モネ—光のなかに」展会場風景。左は《グラジオラス》(1881年)、右は《睡蓮の池》(1899年)。 (c)Gottingham
モネの時代には鉄道が発達しチューブ入りの絵の具が実用化され、画家たちは戸外で絵を描くことに熱中していた。それまでは屋外でスケッチを描き、アトリエで着彩するのが一般的だったのだ。ポーラ美術館『モネ—光のなかに』展では建築家、中山英之がそのモネが見た光を甦らせている。
《国会議事堂、バラ色のシンフォニー》(1900年)。ロンドン、テムズ河の対岸からの眺め。モネはロンドンの霧に魅せられた。 (c)Gottingham
会場にはゆるやかにカーブした壁が3つ、そこにモネの絵がかけられている。〈ポーラ美術館〉は国内の美術館では最多の19点に及ぶモネ作品を所蔵しており、今回はそのうちの11点を展示する。

「モネがカンヴァスを置いたセーヌ河のほとりや睡蓮の池に、見る人も自分の身を置いているような感じにしたいと思いました。外では、光は描かれる対象だけでなく、カンヴァスやモネ自身も照らしています。そのことを感じられるよう、曇り空の下で一つの大きな光に包まれるような空間を作りたいと思いました」(中山)
カーブした壁の背面は仕上げもせず、最小限の手数で作られている。濃いめのグリーンにしたのは向かい側にかけられた絵のガラス面の反射を防ぐため。 (c)Gottingham
そのために天井の角はすべて丸くして、カーブした壁の上部から天井を照らす間接照明のみで展示室を満たしている。絵だけにスポットライトがあたるということもなく、足元に影もできないというちょっと不思議な空間が生まれた。
奥に見えているのは《ジヴェルニーの積みわら》(1884年)。積みわらの影が暗い色を使わずに表現されている。足元に影の出ない中山の会場構成にも通じる。 (c)Gottingham
《睡蓮の池》(1899年)。モネはジヴェルニーの自邸に日本風の太鼓橋がある池を造り、水に浮かぶ睡蓮や水面に反射する光を繰り返し描いた。 (c)Gottingham
設営時、中山は照明計画で協働した岡安泉とライティング設定のテストをしていて、モネの絵について改めて発見があったという。

「夕方の光のような、オレンジがかった照明にすると《セーヌ河の日没、冬》の川面に夕焼けがくっきりと浮かび上がるんです。今回最終的に選択した、白みがかった光では、《ジヴェルニーの積みわら》の麦わらや地面の草に光がおしよせてきらきらと輝く。それまで気づかなかった風景が見えてきました」

展示室にはモネの後半生およそ30年間で描かれた作品が並ぶ。この間にモネはヴェネチアやロンドンを旅し、各地でさまざまな光を体験した。柔らかい絨毯の上を歩いていくとモネとともにその30年の光を追体験できる。1世紀以上前のヨーロッパへと旅ができる空間だ。
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