足で描いた!? 白髪一雄のパワーみなぎる絵画|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

足で描いた!? 白髪一雄のパワーみなぎる絵画|青野尚子の今週末見るべきアート

燃えさかる炎か、ほとばしる水のような絵。足で描いた画面には得体の知れないエネルギーが渦巻いています。「具体美術協会」でも活躍した画家、白髪一雄の東京初の回顧展は必見です!

展示風景。それぞれ1~2メートルの大きさの絵が並ぶ。 photo_Tadashi Ono
会場に並ぶ大画面の絵。大量の絵の具がうねり、飛び散り、叩きつけられている。前に立つと強風が吹いてくるような迫力だ。これらの絵は画家、白髪一雄が足で描いた「フットペインティング」と呼ばれるものだ。白髪の足に込められた力がそのまま絵の具の軌跡となって現れている。
床に置いて展示された絵も。白髪がどんなふうにして描いたかを想像できる。 photo_Tadashi Ono
1924年、兵庫県尼崎市の生まれの白髪一雄。初期には鳥かごの鳥など、叙情的な具象画を描いていた。1953年ごろから徐々に抽象に転じる。「フットペインティング」に取り組み始めたのは1954年ごろのことだった。会場で上映されている彼の制作風景のドキュメント映像には天井から吊したロープにぶらさがり、床に置いたキャンバスにたっぷりと載せた油絵の具を足でぐいぐいと塗り広げる姿がとらえられている。
アトリエでの制作風景。1960年代。画像提供:公益財団法人 尼崎市文化振興財団
《難航》1949年、尼崎市蔵。初期にはこんな詩的な具象画を描いていた。
アトリエでの制作風景。1960年代。画像提供:公益財団法人 尼崎市文化振興財団
《難航》1949年、尼崎市蔵。初期にはこんな詩的な具象画を描いていた。
彼がこんなことをはじめたのは、どちらかというと実際的な理由からだった。絵の具をたっぷりと盛った絵を描きたい。しかし、紙やキャンバスを壁に立てて描くと絵の具が垂れてきてしまう。そこで床に紙を置いて描き始めたが、大画面になると中央には手が届かない。彼は仕方なく画面の中に入って行く。でも画面に盛り上げた絵の具でつるつると滑ってしまうので、転ばないよう天井から垂らしたロープにつかまって描くようになる。ときに足の指の跡まで残るダイナミックな画面はこうして作られたのだ。

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