ARCHITECTURE
ありがちな偉人の顔はナシ! スノヘッタによる新紙幣。
『カーサ ブルータス』2019年1月号より
December 6, 2018 | Architecture, Design, Travel | a wall newspaper | photo_Calle Huth / Studio Illegal / Snøhetta text_Mika Yoshida & David G. Imber
お札は国家のシンボル。世界的建築事務所によって、ノルウェーのクローネ紙幣が、かくも美しくなりました。
いわば国家の「顔」である紙幣のデザインを、なんと建築事務所が手がけるとは! ノルウェーの新札デザインを一任されたのは、エジプトの〈新アレクサンドリア図書館〉やNYの〈9/11メモリアル博物館プラザ〉、〈SFMOMA〉増築などで知られるスノヘッタ。キャッシュレス化が急速に進むノルウェーでこれが最後の紙幣とも言われるスノヘッタ紙幣。さっそく話を聞いた。
Q そもそものきっかけは?
公共性の高いデザインは昔からの願いでした。紙幣のオープンコンペに参加したところ、80組のアーティストやデザイン事務所の中から選出されました。
Q 絵柄について教えてください。
ノルウェー建国以来、今回のお札は8バージョン目となります。これまでは芸術家や科学者の肖像画でしたが、偉人を描かないお札はこれが初。国の歴史にとって重要な意味をもつ「海洋」がテーマのデザインを、というのがノルウェー中央銀行の狙いでした。額面の数字は海上の風力を示す単位「ビューフォート風力階級」に呼応しています。50クローネは微風、100クローネは軟風、1000クローネで暴風、と額面が上がるに従って風が強まって見えます。
Q ピクセルで描いていますね。
色ガラスや石で作られた古代の遺物にインスピレーションを得て、現代版モザイクであるピクセルで海や空、海岸線を表しました。すなわち過去と現在を結ぶ「旅」という意味も込められているのです。個人個人で絵柄を自由に解釈できるように、ピクセルを粗くしてあるのも特徴です。それにより、モダンかつタイムレスなデザインとなりました。
Q そもそものきっかけは?
公共性の高いデザインは昔からの願いでした。紙幣のオープンコンペに参加したところ、80組のアーティストやデザイン事務所の中から選出されました。
Q 絵柄について教えてください。
ノルウェー建国以来、今回のお札は8バージョン目となります。これまでは芸術家や科学者の肖像画でしたが、偉人を描かないお札はこれが初。国の歴史にとって重要な意味をもつ「海洋」がテーマのデザインを、というのがノルウェー中央銀行の狙いでした。額面の数字は海上の風力を示す単位「ビューフォート風力階級」に呼応しています。50クローネは微風、100クローネは軟風、1000クローネで暴風、と額面が上がるに従って風が強まって見えます。
Q ピクセルで描いていますね。
色ガラスや石で作られた古代の遺物にインスピレーションを得て、現代版モザイクであるピクセルで海や空、海岸線を表しました。すなわち過去と現在を結ぶ「旅」という意味も込められているのです。個人個人で絵柄を自由に解釈できるように、ピクセルを粗くしてあるのも特徴です。それにより、モダンかつタイムレスなデザインとなりました。
Q 海景にはどんな意味が?
大気と水、海と大地、風と土地とが接する所から生命が生じます。固さと柔らかさ、乾と湿の出会い……私たちはこれを「境い目の美」
と呼びます。どの紙幣にも横にまっすぐ線が描かれています。国を問わず、地平線や水平線は「境界の向こうへ」を意味しますよね。
Q ちなみに苦労した面は?
(贋札防止など)セキュリティ面での配慮が必要なため、何かとデザイン上の制限がありました。
Q ノルウェーの公共デザインが優れているのはなぜでしょう?
400年もの間スウェーデンやデンマークの属国だった上、建国が1905年と国家としての歴史が浅いため国としてのアイデンティティが乏しいだけに、慣例にとらわれない試みを促す進取の気風があります。また北欧特有の平等民主主義の信念に基づく社会は、それにふさわしいデザインを育みます。また、常に最先端を目指すお国柄。それがデザイン面でも反映されているのですよ。
大気と水、海と大地、風と土地とが接する所から生命が生じます。固さと柔らかさ、乾と湿の出会い……私たちはこれを「境い目の美」
と呼びます。どの紙幣にも横にまっすぐ線が描かれています。国を問わず、地平線や水平線は「境界の向こうへ」を意味しますよね。
Q ちなみに苦労した面は?
(贋札防止など)セキュリティ面での配慮が必要なため、何かとデザイン上の制限がありました。
Q ノルウェーの公共デザインが優れているのはなぜでしょう?
400年もの間スウェーデンやデンマークの属国だった上、建国が1905年と国家としての歴史が浅いため国としてのアイデンティティが乏しいだけに、慣例にとらわれない試みを促す進取の気風があります。また北欧特有の平等民主主義の信念に基づく社会は、それにふさわしいデザインを育みます。また、常に最先端を目指すお国柄。それがデザイン面でも反映されているのですよ。
<strong>スノヘッタ</strong>
オスロとNYを拠点とする建築/デザインファーム。プリンシパルはシェティル・トレーダル・トールセン(写真左)とクレイグ・ダイカース(右)。