ARCHITECTURE
〈光の教会〉を国立新美術館に増築!? 型破りの安藤忠雄展をリポート。
September 28, 2017 | Architecture, Art | casabrutus.com | photo_Shin-ichi Yokoyama text_Yuka Uchida editor_Keiko Kusano
建築家・安藤忠雄の半世紀に渡る仕事を俯瞰する『安藤忠雄展-挑戦-』が国立新美術館でスタートした。代表作〈光の教会〉を美術館の敷地に1/1のサイズで再現する、前代未聞のプロジェクトも実現! 心と体でANDO建築を感じられる展覧会、その見どころをレポートします。
スペシャルインタビュー。〈光の教会〉インスタレーションなどをたっぷり語ります。
約270点の資料から89のプロジェクトを辿る、過去最大規模の個展。
「挑戦」。安藤が展示のタイトルに掲げたのは、自身の建築人生を短く、かつ的確に表したこの言葉だった。1969年に設計活動を始めて50年余り。展覧会の入口に掲げられたステートメントでは、これまで手がけたすべての建築が「いつも私にとって“挑戦”であった」と振り返っている。その戦いの軌跡を6つのセクションで辿るのがこの展覧会だ。
セクション1「原点/住まい」では安藤の名を世に知らしめた代表作〈住吉の長屋〉を筆頭に、100を越える住宅建築の中からハイライトを紹介している。興味深いのは、図面や模型だけでなく、安藤が施主へ贈ったメッセージカードや、施主が住宅を依頼した動機などを語ったアンケートも展示されていること。〈住吉の長屋〉に至ってはその全図面を公開する充実の内容だ。
「挑戦」。安藤が展示のタイトルに掲げたのは、自身の建築人生を短く、かつ的確に表したこの言葉だった。1969年に設計活動を始めて50年余り。展覧会の入口に掲げられたステートメントでは、これまで手がけたすべての建築が「いつも私にとって“挑戦”であった」と振り返っている。その戦いの軌跡を6つのセクションで辿るのがこの展覧会だ。
セクション1「原点/住まい」では安藤の名を世に知らしめた代表作〈住吉の長屋〉を筆頭に、100を越える住宅建築の中からハイライトを紹介している。興味深いのは、図面や模型だけでなく、安藤が施主へ贈ったメッセージカードや、施主が住宅を依頼した動機などを語ったアンケートも展示されていること。〈住吉の長屋〉に至ってはその全図面を公開する充実の内容だ。
光と風を感じるための、原寸大の〈光の教会〉。
住宅プロジェクトを辿りながら奥に長い展示空間を進むと、セクション2の野外展示へ誘導される。ガラス張りの廊下の先に見えてくるのは、コンクリート壁の建物。実寸大で再現された〈光の教会〉だ。
住宅プロジェクトを辿りながら奥に長い展示空間を進むと、セクション2の野外展示へ誘導される。ガラス張りの廊下の先に見えてくるのは、コンクリート壁の建物。実寸大で再現された〈光の教会〉だ。
この建物、美術館の“増築部分”として、正式に申請をして完成したものだ。もちろん素材はコンクリートで、床やベンチには実際の〈光の教会〉と同じ枕木が使用されている。唯一異なるのは、十字のスリットや壁の開口部にガラスが嵌められていないこと。「光や風といった自然の断片を引き込む」という、安藤が当初、思い描いたプランがそのままに再現されているのだ。
「建築は体験するもの」。この考えは安藤が繰り返し唱え、今回の展示で最も大事にしたことと言えるかもしれない。空間に流れる風、差し込む光、それらがあってはじめて建築は人の心を動かすことができる。〈光の教会〉を原寸大で再現したのも、そんな思いがあってのことだ。
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