授賞式直前のトム・プリツカー氏を直撃! プリツカー賞の裏側を聞きました。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

授賞式直前のトム・プリツカー氏を直撃! プリツカー賞の裏側を聞きました。

“建築界のノーベル賞”として絶大な影響力を持つ、プリツカー賞。その創立者であるプリツカー家の代表、トム・プリツカー氏が来日。2017年度の受賞者や、5月20日に東京・迎賓館赤坂離宮で開催される授賞式について話を聞きました。最後はプリツカー賞の誕生秘話も飛び出し……!?

来日したトム・プリツカー氏。プリツカー家はハイアット・ホテル・グループを経営する一族で、トム氏の父である、ジェイ・プリツカー氏が1979年に賞を設立した。
Q 2017年度の受賞者は、スペインの建築家、ラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3人でした。〈RCRアーキテクツ〉というチーム名で、故郷であるスペインの田舎町、オロットを拠点に活動するユニークな建築家です。彼らを選出した理由を教えてください。

A 残念ながら、私は詳しい選考理由は知らないのです。プリツカー賞には、建築家や建築に造詣の深い見識者によって構成された選考委員会があるのですが、我々スポンサーとは完全に切り離されています。選考は彼らの仕事であり、私はそこで何が話し合われているのか全くと言っていいほど把握していません。

Q ということは、あなたにも選考が終わってから、結果のみが知らされるのですか?

そのとおり。今年は、最終選考の会議が終わった午後4時ごろに知らせを受けました。正直なところ、その瞬間まで私は〈RCRアーキテクツ〉の作品はおろか、彼らの名前すら知らなかった。つまり、そのくらい選考に関与していないのです。大切なのは優秀な選考委員を集め、独立性を保ちながら、誠実に受賞者を決めること。この考えはプリツカー賞を創立した当初から変わっていません。
RCR アーキテクツの3人。左からラファエル・アランダ、 カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタ。 photo_Javier Lorenzo Domínguez
Q それでは、あなた個人としては今年の受賞者にどのような印象をお持ちですか?

A とても興味深い受賞者だと思っています。今、世界ではグローバルとローカルのせめぎ合いが起こっています。ただ、彼らはそのふたつをうまく両立させている。自分たちの共同体を大切にし、ローカル性を保ちながらグローバルな取り組みをしています。受賞をきっかけに、彼らは世界から研究される対象となるでしょう。彼らの存在を世界に知らせる手伝いができたことに意義を感じています。
RCRアーキテクツによる〈ラ・キュイジーヌ芸術センター〉 photo_Hisao Suzuki
Q 授賞式は迎賓館赤坂離宮で行われるそうですね。会場は受賞者が決まってから選定するのですか?

A いいえ、授賞式の会場は受賞者が決まるずっと前に決まっています。プリツカー賞は毎年、ざまざまな国を訪れ、その国の重要な建築物で授賞式を行うのですが、そうすることが異なる文化について知るきっかけとなるのです。受賞者と開催国に関係性があるわけではありません。その意義を実感したのが、1989年に開催した東大寺での授賞式でした。それ以前は、ほとんどアメリカで開催していたのです。東大寺を会場に選んだ理由は、シカゴで開催された東大寺展に感動し、その時に関係者と知り合えたから。この年を境に、プリツカー賞そのものも急速に成長していきました。日本で授賞式を行うのは今回が2度目。1989年以来、ご無沙汰していたので迎賓館赤坂離宮で開催できることをとても嬉しく思っています。