19世紀に閉山した錫鉱山をズントー建築が掘り起こす。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

19世紀に閉山した錫鉱山をズントー建築が掘り起こす。

ノルウェーの錫鉱山跡に姿を現したズントーの新作。土地の歴史を掘り起こして弔う、巨匠ならではの感動作。

待望のズントーの新作、ノルウェーに完成です。

9月8日の開館式前日、視察に現れたピーター・ズントー。ギャラリーとして機能する背後の建物は、最長部24mの細い木造の脚に支えられ、岩の上に建っている。
待ち続けること14年。寡作で知られるピーター・ズントーの新作〈アルマナユヴァ錫鉱山〉が完成し、開館式前の視察に立ち会う機会を得た。場所はノルウェー南西部のローガラン地方。壮大な自然の中に建築的名所を点在させる「ナショナル・ツーリストルート」の一環で、ズントーにとっては魔女裁判犠牲者を弔う〈ステイルネセ・メモリアル〉に次ぐ2作目だ。今作は19世紀に閉山した錫鉱山を記念するもの。渓谷の絶壁に囲まれた鉱山跡にある。
壮大な景観と石積みの擁壁が圧巻。手前がトイレ、真ん中がカフェ、奥がギャラリーの建物。
建物は3つあり、最初に現れるのは公共トイレ。そこで車を止めて石を積み上げた階段を上り、山道を上がっていく。間もなく見えてくる建物がカフェで、木をボルトで留めて組んだ枠組みに、箱を入れ込んだ構造。外内壁は合板にジュート布を張り、黒いアクリル樹脂で塗り固めてある。階段を上がってブリキ板を張った重いドアを開けると、黒い壁に切り取られた窓からダイナミックな風景が広がった。家具や照明などもすべてズントーがデザインしたものだという。さらに奥へと進むともう一つ建物があり、こちらは鉱山の歴史やズントーのスケッチなどの展示があるギャラリーになっている。
カフェ内観。壁はジュート布にアクリル樹脂を塗ったもの。床はコンクリートに亜麻仁油を塗ったもの。家具や照明もズントー作。