建築家・谷尻誠の最新作は、なんとサウナ建築!? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

建築家・谷尻誠の最新作は、なんとサウナ建築!?

『カーサ ブルータス』2022年1月号より

サウナ好きとしても知られる建築家の谷尻誠が、2つの異なる個性豊かなサウナ建築を提案。

相模湖近くのキャンプ施設〈DAICHI silent river〉に建てた茶室のようなサウナ小屋〈サ室〉。屋根は銅板葺きで壁は杉皮張り。渓流と色づく山を堪能しながらサウナを満喫!
「サウナと茶室って似てますよね?」と、サウナ好きの建築家、谷尻誠は言う。小空間に入り込み、道理にかなった所作を通して精神を統一する。なるほどそう言われれば、似ているかも。

「かつて、武士や将軍は茶室に入る時に刀を置き、身分を忘れて茶を楽しんだ。サウナも全く同じです。年齢も職業も関係なく、みんな真っ裸で汗をかく。空間への向き合い方は一緒だと思います」

かくして谷尻は、茶室のようなサウナ、〈サ室〉を作ろうと思い立つ。場所は神奈川県相模原で自身が営むキャンプ施設〈DAICHI silent river〉。日本画のような山々と穏やかな川に囲まれたその風景は、都心から1時間ということがウソのような秘境である。

「サウナで汗をかいた後はそのまま川にザブン。最高です」

谷尻がサウナに目覚めたのは3年前。“ととのえ親方” の異名を持つプロサウナーの松尾大に楽しさを伝授され、あっという間にのめり込んだ。キャンプへ行く時は常にテントサウナを持参し、今でも週3、4回はサウナに入っているという。そんな経験とサウナ愛を存分に生かしたのが〈サ室〉というわけだ。

■神奈川|相模原〈サ室〉
桃源郷を眺めつつ汗をかく。茶室のようなサウナ。

2面のガラス窓から景色を満喫。〈サ室〉はプロダクトとしても販売(2,000,000円~)。運営は2021年に谷尻が始めた会社〈DAICHI〉。「大地や森や風を本能的かつ能動的に体感し、自然と建築と人とが有機的につながる場を目指します」
隣には水風呂も。川に飛び込む選択肢もあり。その隣には外気浴用ベンチも設置。
外壁は杉皮張り、内壁は和紙張り、屋根は銅板葺き。
谷尻がデザインしたサウナストーブは炎が見えるレアな形。
室内の広さは2畳。千利休が作ったと言われる国宝の茶室「待庵」と同様だ。壁は杉皮張りで、屋根は銅板葺き。伝統的な茶室への敬意でもあるし、サウナの新しい形の提案でもある。

「従来のログハウス的なものではなく、もっと自由なサウナ建築を考えなくちゃと思ったんです」

景色を楽しめるように壁の2面をガラス張りとし、炎が見えるオリジナルのサウナストーブもデザイン。いったん室内に入れば、めらめら揺れる炎、懐かしい煙の香り、薪がパチパチ爆ぜる音……と五感で豊かな時間を味わえる。

「サウナや水風呂後の外気浴もたまらないんですよ。夜なら満天の星の下でゴロンと寝転んで過ごすこともできる。大自然と一体化するような感覚に包まれます」

ところで、〈サ室〉の原点となった茶室は元来、移築も可能な建築である。「待庵」しかり、豊臣秀吉が利休に作らせた「黄金の茶室」しかり。解体して建て直しできるよう設計されていたものも多いのだ──そんな歴史をひもときながら、次は谷尻が作った移設可能なサウナ建築を訪ねてみた。
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