櫻井翔さんも感動した、石上純也の〈水庭〉とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

櫻井翔さんも感動した、石上純也の〈水庭〉とは?

これは建築なのか? 新作を発表するたびに、そんな議論を巻き起こしてきた建築家・石上純也。2018年に完成したボタニカルガーデン〈水庭〉は、櫻井翔さんにとっても印象深い建築のひとつ。その魅力に改めて迫る。

『Casa BRUTUS 2018年12月号』発売当時のポスター。秋のよく晴れた日に、栃木・那須高原にある〈水庭〉を訪れた櫻井さん。人の手が生み出した不思議なランドスケープを静かに見入った。
『Casa BRUTUS 2018年12月号』表紙。
移植した318本の樹木と人工的につくった160の池で、幻想的なボタニカルガーデン〈アート・ビオトープ那須 水庭〉を生み出した建築家の石上純也。地上にまで光が射す明るい森。点在する水辺。自然界ではありえない人工の風景だと理解しつつも、飛び石に沿って敷地を歩いていくと、まるで森を散策しているような感覚になる。

約2年前の特集『建築を巡る旅』で〈水庭〉を訪れた櫻井翔さん。この風景を目にして最初に発したのは、「なんだろう、ここは……」という素直な言葉だった。ゆっくりと歩きはじめると木漏れ日やそよ風の心地よさの虜に。

鳥のさえずりに耳を澄まし、時折しゃがみこんでは、池の中を覗き込んで生き物を探す。「あ!」とカエルを見つけたり、飛び回るとんぼの群れに少年のような笑顔を見せたり。人工と自然が混ざり合う不思議な庭で、清々しい空気をめいいっぱい楽しんだ。
庭を歩く際のガイドラインとなる飛び石。池の中には水量を調節する配管が仕込まれている。
敷地はアプローチより1段高く、その上に東京ドームがすっぽりと入る広大な土地が広がる。平らに整備されているように見えるが、実際には約1メートルの微妙な高低差があり、敷地奥に立ったときに全体が見渡せる。
移植した樹木を囲むように配された飛び石。苔むすと日本庭園にも似た風景が現れる。
〈水庭〉を歩いた後に感じるのは「これは一体、建築なのか?」という疑問だ。その答えは、〈水庭〉が生まれるまでの過程を知ることで自ずと見つかる。

〈水庭〉がある敷地はもともと牧草地。牧草地は、法律上は「農地」なので、建物が建てられない。そこで、その隣の雑木林を伐採し、そこにホテルを建てるというプロジェクトが進んでいた。石上はその伐採される樹木に注目。そのまま牧草地に移し、新たなランドスケープをつくるアイデアを思いついた。

石上は、この土地の歴史も丹念にリサーチ。牧草地になる以前は水田があったこと、さらに昔は苔むす森林だったことを調べ、この土地に刻まれている歴史のレイヤーを、新たに生み出すランドスケープに内包させることにした。

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