90年、不動の美しさを誇る三井本館。|ホンマタカシ TOKYO SCAPE | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

90年、不動の美しさを誇る三井本館。|ホンマタカシ TOKYO SCAPE

『カーサ ブルータス』2019年7月号より

古典主義建築の代表的な建造物のひとつであり、現存する日本最古の、アメリカンタイプの「オフィスビル」。〈三井本館〉は今年、ここ日本橋の地で90周年を迎える。

鉄骨鉄筋コンクリート造で外装は花崗岩。柱頭の彫刻はアカンサスの葉を模したもの。
夜はコリント式の列柱が光に浮かび上がる。
鉄骨鉄筋コンクリート造で外装は花崗岩。柱頭の彫刻はアカンサスの葉を模したもの。
夜はコリント式の列柱が光に浮かび上がる。
曰くグランデュア、曰くディグニチー、曰くシンプリシチー、三井の新館は此の三つの要素を備へたものならざるべからずとした。此三標語の具体化したものが即ち三井本館である。ーー『男爵團琢磨傳』(故團男爵傳記編纂委員会 昭和13年刊)より

90年。この長き年月を日本橋という街と共に生き、国の重要文化財にも指定されている〈三井本館〉は、昭和初期を代表する古典主義建築という「肩書き」こそ、よく知られているものの、実は、今に続く、日本の近代建築のゆりかごにもなった建物である。誕生の背景には、施工の合理化や最新設備の導入など、革新的な取り組みの数々があった。

その歴史を振り返り、建物としての魅力を現代の視点で切り取るイベント、『三井本館Mitsui Main Building TOKYO 1929-2019|写真・ホンマタカシ』が、行われている。
〈三井本館〉
1929年竣工。設計はニューヨーク3大建築事務所のひとつと言われたアメリカの〈トローブリッジ&リヴィングストン〉事務所。施工も同じくアメリカの〈ジェームス・スチュワート〉社。関東大震災で類焼した旧本館に代わる堅牢な建造物を目指し、市街復興の先駆けとして、最先端の設計技術や施工技術がこの大建築に注がれた。全館冷房や全館強制換気など、当時としては画期的な設備も話題に。細身で美しいコリント式の柱が立ち並ぶ品格ある佇まいは90年変わらず、現在も銀行の営業場及び三井系列各社の拠点として使われている。
ドリス式の列柱 三井住友銀行と三井住友信託銀行の営業場がある1階。床も壁も柱も、造り付けのカウンターやベンチですらも、すべて大理石で設えられた重厚なインテリアは圧巻の一言。ドリス式の柱が、階高10mを超える天井を支える。ドリス式は、古代ギリシア様式の3大柱のひとつで、装飾を省いた柱頭と膨らみのある柱身が特徴だ。
可憐な天井装飾 立体的な浮き彫りや小花にも似た幾何学模様があしらわれた1階の天井装飾。これまでに2度、補修・修復のための大規模な塗装工事が行われ、多彩色の美しさが今に保たれている。三井住友銀行と三井住友信託銀行とで実務エリアは分かれているが、この天井装飾がひと続きであることが、1階の大空間をより伸びやかで迫力のあるものにしている。
ドリス式の列柱 三井住友銀行と三井住友信託銀行の営業場がある1階。床も壁も柱も、造り付けのカウンターやベンチですらも、すべて大理石で設えられた重厚なインテリアは圧巻の一言。ドリス式の柱が、階高10mを超える天井を支える。ドリス式は、古代ギリシア様式の3大柱のひとつで、装飾を省いた柱頭と膨らみのある柱身が特徴だ。
可憐な天井装飾 立体的な浮き彫りや小花にも似た幾何学模様があしらわれた1階の天井装飾。これまでに2度、補修・修復のための大規模な塗装工事が行われ、多彩色の美しさが今に保たれている。三井住友銀行と三井住友信託銀行とで実務エリアは分かれているが、この天井装飾がひと続きであることが、1階の大空間をより伸びやかで迫力のあるものにしている。
不動の大空間 端から端まで見通せる、まるで神殿のような大空間。この大空間を支えているのは見ての通りの列柱で、柱の中には、構造上の「独立柱」として機能するための鉄骨が入っている。吹き抜けは銀行設計の定石だが、一部ではなく、すべてを吹き抜けにしたこれほどまでの大空間が、90年変わらずに使われ続けている例は他にない。
華やかな大理石の競演 1階のインテリアにふんだんに用いられた大理石は、そのほとんどがイタリア産で、石工事にかかった手間と予算の割合は群を抜いている。独立柱には、ベージュのボテティーノ。床は主にトラヴァーチンとレッドレヴァント。幅木にはブラック・アンド・ゴールドといった大理石の花形たちを多彩に用いている。
不動の大空間 端から端まで見通せる、まるで神殿のような大空間。この大空間を支えているのは見ての通りの列柱で、柱の中には、構造上の「独立柱」として機能するための鉄骨が入っている。吹き抜けは銀行設計の定石だが、一部ではなく、すべてを吹き抜けにしたこれほどまでの大空間が、90年変わらずに使われ続けている例は他にない。
華やかな大理石の競演 1階のインテリアにふんだんに用いられた大理石は、そのほとんどがイタリア産で、石工事にかかった手間と予算の割合は群を抜いている。独立柱には、ベージュのボテティーノ。床は主にトラヴァーチンとレッドレヴァント。幅木にはブラック・アンド・ゴールドといった大理石の花形たちを多彩に用いている。