nendo 佐藤オオキが〈カシヤマ ダイカンヤマ〉を案内します! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

nendo 佐藤オオキが〈カシヤマ ダイカンヤマ〉を案内します!

内装や家具を含む建物すべてを〈nendo〉が手がけた〈KASHIYAMA DAIKANYAMA〉が、代官山に誕生。B1から最上階まで、随所に隠されたディティールを読み解く館内ツアー、佐藤オオキ本人による案内のもとお届けします!

photo_Shin-ichi Yokoyama
〈オンワード樫山〉による商業施設〈KASHIYAMA DAIKANYAMA〉が、4月2日に代官山にオープン。〈SUGALABO〉主宰の須賀洋介とシェフパティシエの成田一世が監修するカフェやレストラン、〈KENZO〉のクリエイティブディレクターを務めるキャロル・リムとウンベルト・レオンがキュレーションを行うアパレルなどを擁する、複合施設になっている。

建物から内装、家具まですべてのデザイン・監修は、佐藤オオキ率いる〈nendo〉が手がけた。まず目を引かれるのは、施設全体の独特な構造。佐藤さん、このかたちはどんな風に導き出したものなんですか?

佐藤 “小さな丘”のようなものを作りたいと考えたんです。本来はもっと容積を大きく構えて、上の方をオフィスにして、下の方を飲食店に貸して…というのが、スタンダードな商業施設です。けれど、そうすると施設としてどうしても雛形に収まってしまうし、できればもっと近隣に溶け込むようなものにしたかった。そう考えたときに出てきたのが、ひとつひとつが“小箱”のような構造が、部分的に重なり合いながら丘のような全体をなす、今のかたちです。
通りに面した建物のファサード。微妙にずれて重なり合う9つの小箱からなる“丘”のようなイメージで設計されている。カフェスペースをあえてB1Fレベルに一段沈めることで、通行人が店内の賑わいを伺える。
上空から見るとよくわかる通り、それぞれの箱の屋上部分がテラスの役割を果たしている。建物の外からテラスだけを伝って上階まで登っていくこともできる。
「代官山」「樫山」と、施設名に“山”が多いこと、また、建物の構造が“重なり”によって成立していることから、△=山を重ねたようなロゴマークに。デザインは〈HAND〉の八木秀人が行った。
佐藤の描いたアイデアのスケッチ。小箱が微妙にずれて重なり合って、小さな丘をなす。
通りに面した建物のファサード。微妙にずれて重なり合う9つの小箱からなる“丘”のようなイメージで設計されている。カフェスペースをあえてB1Fレベルに一段沈めることで、通行人が店内の賑わいを伺える。
上空から見るとよくわかる通り、それぞれの箱の屋上部分がテラスの役割を果たしている。建物の外からテラスだけを伝って上階まで登っていくこともできる。
「代官山」「樫山」と、施設名に“山”が多いこと、また、建物の構造が“重なり”によって成立していることから、△=山を重ねたようなロゴマークに。デザインは〈HAND〉の八木秀人が行った。
佐藤の描いたアイデアのスケッチ。小箱が微妙にずれて重なり合って、小さな丘をなす。
容積を抑えたために圧迫感がなくなり、また通りに対して全面的に開かれたガラス張りのファサード、豊かに施された植栽などが、通りすがりの人々に親密な印象を与える。施設へのアプローチは、3通り。B1のカフェへと下っていく幅の広い階段と、建物向かって左脇から館内1Fロビーへとつづく小道。そして、1Fから2F、2Fから3F…と外のテラスを登っていく階段。はっきりとした正面玄関は設けられておらず、先の3通りのアプローチから施設に足を踏み入れると、気がつけば建物の外から中へ、あるいは、中から外へと、自然と回遊していく動線が生まれる。

佐藤 “中と外をできるだけ近づける”ということは、一貫して考えていた点です。箱をずらして重ねていくと、一つの小箱の外壁が別の小箱の内部へと入り込んでいき、入れ子状になる。そうした全体の構造もそうですし、細かい部分でも、外のテラスで使っているオリジナルの黒い手すりを館内の什器のデザインとして活かすなど、“中”と“外”とがかみ合って、じんわりと繋がるような感覚を、各所で意図してデザインしました。

“什器や照明のデザインに手すりを活かす”。こうした細かなルールが、館内各所のディティールを定めていく。小箱と小箱とが“重なる”の部分の仕上げは、重要なルールのひとつだ。

佐藤 例えば、ひとつの小箱の床材が黒っぽい砂利で、もうひとつの小箱が白っぽい砂利ならば、それらの小箱の重なった部分の床材は、黒と白の砂利を混ぜてしまう。そんな風にして、箱型の重なり構造を、内部のディティールにまで反映させているんです。職人さんには、鬱陶しがられたと思います(笑)。
〈SUGALABO〉のシェフパティシエ・成田一世が監修する、B1のカフェスペース。グレーの丸みのあるソファ《bridges for islands》や、〈フリッツ・ハンセン〉の《N01》、〈カッペリーニ〉のラウンジチェアなど、〈nendo〉がこれまで手掛けてきた家具が勢ぞろい。直線的な建物の構造に対して、丸みを帯びた家具が、“中と外”を柔らかく繋いでいる。
グレーの直線は、角度のずれた2つの“箱”が、空間的に重なり合っている部分を示している。床材は、写真右側の“箱”では白い玉砂利、左側の“箱”ではコンクリート。その間の箱が重なるグレーの部分は、それらの“あわい”を表現するべく、“砂利を抜き去ったような跡のあるコンクリート”になっている。 photo_Shin-ichi Yokoyama
植栽が載った壁の棚や、天井から釣り下がる照明。その他、館内の各所で、館外のテラスで用いられている手すりが活かされている。
〈SUGALABO〉のシェフパティシエ・成田一世が監修する、B1のカフェスペース。グレーの丸みのあるソファ《bridges for islands》や、〈フリッツ・ハンセン〉の《N01》、〈カッペリーニ〉のラウンジチェアなど、〈nendo〉がこれまで手掛けてきた家具が勢ぞろい。直線的な建物の構造に対して、丸みを帯びた家具が、“中と外”を柔らかく繋いでいる。
グレーの直線は、角度のずれた2つの“箱”が、空間的に重なり合っている部分を示している。床材は、写真右側の“箱”では白い玉砂利、左側の“箱”ではコンクリート。その間の箱が重なるグレーの部分は、それらの“あわい”を表現するべく、“砂利を抜き去ったような跡のあるコンクリート”になっている。 photo_Shin-ichi Yokoyama
植栽が載った壁の棚や、天井から釣り下がる照明。その他、館内の各所で、館外のテラスで用いられている手すりが活かされている。