VEHICLE
Chill CARS|世界的巨匠が日本で生み出した、カーカルチャーのひとつの形。
『カーサ ブルータス』2018年4月号より
March 24, 2018 | Vehicle | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
《iPad》のプロトタイプなど〈アップル〉の製品を多く手がけた独〈フロッグデザイン〉社のハルトムット・エスリンガーは、プロダクトがコモディティー化していくことを防ぐためには、カルチャーを生み出すことこそ重要と説いた(『デザインイノベーション』)。
1960年代から80年代にかけての〈いすゞ〉は、心躍るクルマを手がけていて、日常の足にとどまらない、独自のカルチャーを作り出していた。筆頭は68年発表の《117クーペ》で、もうひとつが81年の《ピアッツァ》だ。
卵のようななめらかなフォルム。フラッシュサーフェイスという、サイドウィンドウの段差もほとんどないスタイルは技術的にも見るべきものがある。
内装は、ステアリングホイールから手を離さずにランプやウインカーや空調を操作できるサテライトスイッチの採用や、立体的な形状のシートなど斬新。
〈デロリアン〉の《DMC-12》、〈BMW〉の《M1》、日本でも大ヒットした〈アウディ〉の《80》などをデザインした〈イタルデザイン〉のジョルジェット・ジウジアーロが手がけた。プロトタイプが出たとき世界中の人が、本当にこんなクルマを量産化できるのだろうか? と言った。斬新なスタイルを売るのは冒険でもあったろう。それを乗り越えて販売にまでこぎつけた〈いすゞ〉。まさにひとつのカルチャーを作ったと言っていい。それが時代を超えて人を惹きつけている理由だ。
卵のようななめらかなフォルム。フラッシュサーフェイスという、サイドウィンドウの段差もほとんどないスタイルは技術的にも見るべきものがある。
内装は、ステアリングホイールから手を離さずにランプやウインカーや空調を操作できるサテライトスイッチの採用や、立体的な形状のシートなど斬新。
〈デロリアン〉の《DMC-12》、〈BMW〉の《M1》、日本でも大ヒットした〈アウディ〉の《80》などをデザインした〈イタルデザイン〉のジョルジェット・ジウジアーロが手がけた。プロトタイプが出たとき世界中の人が、本当にこんなクルマを量産化できるのだろうか? と言った。斬新なスタイルを売るのは冒険でもあったろう。それを乗り越えて販売にまでこぎつけた〈いすゞ〉。まさにひとつのカルチャーを作ったと言っていい。それが時代を超えて人を惹きつけている理由だ。