VEHICLE
Chill CARS|ワークブーツのように機能主義的な、アメリカンプロダクトの傑作。
『カーサ ブルータス』2019年7月号より
June 15, 2019 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
米国のトラックは必要から生まれた。〈シボレー〉のトラックの歴史は、1910年代に工場の部品運搬用としてスタートしている。一般向けが販売されたのは第二次世界大戦後のことだ。
“必要から生まれた”ことは、その多様なラインナップが証明している。40年代にシボレーでは19もの長さの異なるホイールベースを持つシャシーと、99に及ぶボディを用意していた。ユーザーの目的別である。
《ブレイザー》も多様性を求めて作られた1台だ。SUVの走りである《サバーバン》(初代は1935年)の小型版として69年に発表された。当初は2人乗りのフルオープン(ハードトップも装着可能)だったが、車体の多様化が進んだ結果、77年には前席部分のルーフが固定式になるとともに、FRP製のキャノピーが用意された。
四輪駆動モデルは、フルサイズの「K-5」と、日本にも正規輸入されたコンパクト「S-10」に分かれる。取材車は第2世代の「K-5」(73年〜91年)で、ツートーンの塗装が美しいが、優越感やステータスのために買うクルマではない。あくまでワークブーツやカウボーイハットのように機能主義的な形状なのだ。
大切なのは“どこでも走れる”とか“頑丈だから何があっても生き延びられる”イメージである。人間の本能に訴えかけてくるデザインだ。大自然のなかで生き抜いてきた米国人の生活手段。地域に根ざしたデザインが生んだ傑作だ。
《ブレイザー》も多様性を求めて作られた1台だ。SUVの走りである《サバーバン》(初代は1935年)の小型版として69年に発表された。当初は2人乗りのフルオープン(ハードトップも装着可能)だったが、車体の多様化が進んだ結果、77年には前席部分のルーフが固定式になるとともに、FRP製のキャノピーが用意された。
四輪駆動モデルは、フルサイズの「K-5」と、日本にも正規輸入されたコンパクト「S-10」に分かれる。取材車は第2世代の「K-5」(73年〜91年)で、ツートーンの塗装が美しいが、優越感やステータスのために買うクルマではない。あくまでワークブーツやカウボーイハットのように機能主義的な形状なのだ。
大切なのは“どこでも走れる”とか“頑丈だから何があっても生き延びられる”イメージである。人間の本能に訴えかけてくるデザインだ。大自然のなかで生き抜いてきた米国人の生活手段。地域に根ざしたデザインが生んだ傑作だ。
special thanks to Johnan Jeep( TEL 03 3705 4411) ※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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