SPECIAL JAPANESE MODERN ARCHITECTURE 55
愛知
026 常滑陶芸研究所
Laboratory of Tokoname Ceramics (1961)

1961年竣工。設計:堀口捨己。伊奈製陶(後のINAX、現LIXIL)の創業者・伊奈長三郎の寄付によって建設された研究施設。〈とこなめ陶の森〉の一角にある。茶室研究の大家として知られる堀口捨己による鉄筋コンクリート造の作品で、非対称のデザインを大きな庇によってまとめた外観に、和風建築の趣と、堀口好みの”強い表現”が見てとれる。淡い紫の外壁は当時、最先端の技術だったカラコンモザイクタイルをグラデーションに張ったもの。周辺の常滑焼の窯から流れてくる煤を洗い流せるよう配慮されている。2階建の館内には、自然光を取り入れた展示室や吊り階段、2つの茶室などがあり、ガラスブロックやプラスチックパネルなど使用する建材もバラエティーに富んでいる。堀口は最新素材を使うことで現代性を重視した。一部家具や庭園も設計し、いずれも竣工時の姿で残る。