CULTURE
【本と名言365】ル・コルビュジエ|「一つの家屋は一つの…」
September 1, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。住宅は住むための機械である……誰もが一度は目にしたことのある名言が登場から一世紀を迎えます。彼がそこに込めた意図とはなんだったのでしょうか。
一つの家屋は一つの住むための機械である。
モダニズム建築の礎を築いた建築家、ル・コルビュジエの名はあまりにも有名だ。しかしその名は筆名で、本名をシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリという。ル・コルビュジエの名は、彼が1920年に刊行した雑誌『レスプリ・ヌーヴォー』の一記事における執筆者としてはじめて登場する。
ただし、ここでは雑誌を共同刊行した画家、アメデエ・オザンファンとの共同著名「ル・コルビュジエ・ソニエ」と記載された。やがて『レスプリ・ヌーヴォー』に書き下ろした一連の論考が『建築をめざして』としてまとめられ、1923年に初版を発行。版を重ねるなかでル・コルビュジエの単独名義となり、その名は建築家としての活動名になった。
本書に登場する『一つの家屋は一つの住むための機械である』という言葉もまた、ル・コルビュジエの名とともによく知られる。彼は『建築をめざして』のなかで様式主義の建築に異を唱え、工業化の時代に則って住宅のあり方もアップデートすべきだと訴えた。当時最先端にあった大型客船、航空機、自動車を例に、技術とともに形態はあるべきだと説くなかで、『一つの家屋は一つの住むための機械である』と書いた。
同時にその技術には工学的な美学が宿るべきで、だからこそ調和が生まれるのだともいう。本書におけるル・コルビュジエの表現はやや扇動的で、この言葉もまた言葉尻のみで捉えられる向きも多い。しかし彼は貴族主義的な建築から脱却した民主的な建築を求め、その美学を実現するための理論をここに記した。出版から今年でちょうど一世紀を迎える本書の精神性は、いまなおまったく古びていない。
モダニズム建築の礎を築いた建築家、ル・コルビュジエの名はあまりにも有名だ。しかしその名は筆名で、本名をシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリという。ル・コルビュジエの名は、彼が1920年に刊行した雑誌『レスプリ・ヌーヴォー』の一記事における執筆者としてはじめて登場する。
ただし、ここでは雑誌を共同刊行した画家、アメデエ・オザンファンとの共同著名「ル・コルビュジエ・ソニエ」と記載された。やがて『レスプリ・ヌーヴォー』に書き下ろした一連の論考が『建築をめざして』としてまとめられ、1923年に初版を発行。版を重ねるなかでル・コルビュジエの単独名義となり、その名は建築家としての活動名になった。
本書に登場する『一つの家屋は一つの住むための機械である』という言葉もまた、ル・コルビュジエの名とともによく知られる。彼は『建築をめざして』のなかで様式主義の建築に異を唱え、工業化の時代に則って住宅のあり方もアップデートすべきだと訴えた。当時最先端にあった大型客船、航空機、自動車を例に、技術とともに形態はあるべきだと説くなかで、『一つの家屋は一つの住むための機械である』と書いた。
同時にその技術には工学的な美学が宿るべきで、だからこそ調和が生まれるのだともいう。本書におけるル・コルビュジエの表現はやや扇動的で、この言葉もまた言葉尻のみで捉えられる向きも多い。しかし彼は貴族主義的な建築から脱却した民主的な建築を求め、その美学を実現するための理論をここに記した。出版から今年でちょうど一世紀を迎える本書の精神性は、いまなおまったく古びていない。
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