FASHION
舘鼻則孝が《ゴースト》とコラボレーション!
『カーサ ブルータス』2019年4月号より
March 21, 2019 | Fashion | a wall newspaper | text_Jun Ishida
アーティストの舘鼻則孝が、初のテキスタイル作品に挑戦。日本の伝統技術を生かし《ゴースト》のカバーを作りました。
日本の伝統工芸の技術を生かした作品作りに取り組んでいる舘鼻則孝が、新たなジャンルに挑戦した。ジェルバゾーニとコラボレーションし、パオラ・ナヴォーネの名作《ゴースト》シリーズのテキスタイルを発表した。大学時代は染織を専攻した舘鼻だが、テキスタイルを用いた作品は今回が初めてだという。
「知っているがゆえに遠くなってしまったというのもあります。《ゴースト》は自宅でも使っていて馴染みのある家具です。椅子に被せるカバーが主役となるものなので、日本の物作りの技術で特徴的なものを作りたいと思いました」
西陣織の老舗である細尾とともに開発したのは烏をモチーフとした赤・黒・銀3色のテキスタイル。西陣織らしく経糸には絹を用い、緯糸にはそれぞれ赤あるいは銀の箔、黒いラッカー塗装をほどこした和紙を細かく切って織り込んだ。
「知っているがゆえに遠くなってしまったというのもあります。《ゴースト》は自宅でも使っていて馴染みのある家具です。椅子に被せるカバーが主役となるものなので、日本の物作りの技術で特徴的なものを作りたいと思いました」
西陣織の老舗である細尾とともに開発したのは烏をモチーフとした赤・黒・銀3色のテキスタイル。西陣織らしく経糸には絹を用い、緯糸にはそれぞれ赤あるいは銀の箔、黒いラッカー塗装をほどこした和紙を細かく切って織り込んだ。
「細尾が革新的なのは、何よりも織機を開発したところ。日本の織機の織幅は着物を軸としているので40cmぐらいですが、ヨーロッパのものは最低でも150cmあります。日本の従来の織物ではクッションカバーは作れても、ソファやカーテンには縫い目が多くなり対応できない。織幅を変えるだけで用途が広がるのです」
烏の絵柄は、中国の故事に謳われた「銀色の羽を持つ烏」から取られた。「学生時代に、明治時代の遊女が烏柄の着物を着ている写真を見つけて驚きました。現代では考えつかないけれど、とてもファッショナブルに思えた」と振り返る。
日本の伝統をモダンに進化させる舘鼻の新境地といえる作品だ。
日本の伝統をモダンに進化させる舘鼻の新境地といえる作品だ。
《GHOST LIMITED EDITION, 2018》
《GHOST》シリーズ初のコラボレーションテキスタイル。すべてオーダーメイドによる受注販売で展開。受注から納期までは約3〜4か月が目安。今後の展示などはジェルバゾーニのHPで確認を。ジェルバゾーニジャパン TEL 03 5413 3274。
舘鼻則孝
たてはなのりたか 1985年東京都生まれ。東京藝術大学で染織を専攻。花魁の下駄から着想したヒールレスシューズをLady Gagaが着用し注目を集める。METやV&Aも作品を所蔵。