ART
世界の座標を再考させる、ダムタイプの凱旋展が開催中。
『カーサ ブルータス』2023年4月号より
March 16, 2023 | Art | a wall newspaper | text_Naoko Aono Courtesy of Artizon Museum, Ishibashi Foundation Photo by Keizo Kioku
『ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の日本館で2022年に展示されたダムタイプ作品が〈アーティゾン美術館〉に。日本館でのインスタレーションを新たに再構成した、ヴェネチアとは違う体験ができる作品です。
〈アーティゾン美術館〉で開催されているダムタイプの個展『2022: remap』は、昨年開かれた『第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の日本館展示の帰国展。ヴェネチアでの展示を再構築したものだ。
この作品の構想の根底には、プロジェクトメンバーの高谷史郎が坂本龍一らと訪れた、京都・大徳寺の塔頭・真珠庵の茶室での経験がある。もう10年ほど前のことだが、高谷はそのときのことを鮮やかに覚えているという。
この作品の構想の根底には、プロジェクトメンバーの高谷史郎が坂本龍一らと訪れた、京都・大徳寺の塔頭・真珠庵の茶室での経験がある。もう10年ほど前のことだが、高谷はそのときのことを鮮やかに覚えているという。
「茶室の中に入ったら突然大雨が降ってきたんです。障子や漆喰を通じて、雨の音が聞こえてきた。外の景色が見えない分、想像力がかき立てられて、洪水の中にいるようでした。ほんの何分かだったはずですが、何時間にも感じられたのを覚えています」(高谷)
帰国展だが作品はヴェネチアと同じではない。展示室内には入れ子のように、斜めになった四角形の部屋がある。これは吉阪隆正が設計した日本館を再現したものだ。再現された日本館は方位をヴェネチアでのものに合わせてある。
帰国展だが作品はヴェネチアと同じではない。展示室内には入れ子のように、斜めになった四角形の部屋がある。これは吉阪隆正が設計した日本館を再現したものだ。再現された日本館は方位をヴェネチアでのものに合わせてある。
再現された日本館の壁にはテキストが浮かび上がる。1850年代のアメリカの地理の教科書から、「海とは何ですか?」「国はいくつありますか?」といった質問を抜粋したものだ。元の教科書には解答が記されているが、ここでは問いのみが提示される。「海とは」という問いは簡単に見えて答えるのは難しい。国を巡る質問も同様だ。
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