ART
「作らないこと」を続けてきた李禹煥の回顧展|青野尚子の今週末見るべきアート
September 11, 2022 | Art | casabrutus.com | photo_Shin-ichi Yokoyama text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
〈国立新美術館〉開館15周年の節目に回顧展を開いている李禹煥。半世紀以上にわたるキャリアでの初期作品からこの個展のための新作まで、一見、静かなアートが見るものを圧倒します。集大成ともいえる展示について、李禹煥に聞きました。
1960年代末から始まった「もの派」の主要な作家として知られる李禹煥。哲学を学んだ彼は「関係」「余白」といった概念をもとに制作を続けてきた。今回の個展は彼自身が展示構成を手がけたもの。大きく彫刻と絵画のふたつのセクションに分け、ほぼ年代順に作品が並ぶ明快な空間だ。
中でも重要なのが、彼が1968年ごろから制作を始めた〈関係項〉と題されたシリーズだ。主に石、鉄、ガラスを組み合わせた一連の立体作品は会場でも独特の存在感を放つ。李は「自己は有限でも外部との関係で無限があらわれる」という。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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